Tomoyo After:SEEN0812

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// Resources for SEEN0812.TXT

// #character '有子'
#character 'Yuuko'

// #character '朋也'
#character 'Tomoya'

// #character '管理人'
#character 'Manager'

// #character '女性'
#character 'Woman'


// <0000> 8月12日(木)
<0000> August 12th (Thu)

// <0001> まぶしい朝日にたたき起こされると、俺はそのまま部屋を出た。
<0001> I wake up from the dazzling sunlight

// <0002> 一言、智代には散歩してくる、とだけ残して。
<0002> 一言、智代には散歩してくる、とだけ残して。

// <0003> 少しでも考える時間が必要だった。
<0003> 少しでも考える時間が必要だった。

// <0004> ここに来た目的。ともの母親がともを手放した理由の解明。それは達成できた。
<0004> ここに来た目的。ともの母親がともを手放した理由の解明。それは達成できた。

// <0005> でも納得はできなかった。
<0005> でも納得はできなかった。

// <0006> 真実を知った後、尚更ふたりは、一緒に暮らすべきだと思った。
<0006> 真実を知った後、尚更ふたりは、一緒に暮らすべきだと思った。

// <0007> だから、ここでともが暮らしていけるようにする。
<0007> だから、ここでともが暮らしていけるようにする。

// <0008> それが新しい目的となり、ここに留まる理由となった。
<0008> それが新しい目的となり、ここに留まる理由となった。

// <0009> しかし、その手段はまだ思いついていない。
<0009> しかし、その手段はまだ思いついていない。

// <0010> 俺は母親の言葉を思い返す。
<0010> 俺は母親の言葉を思い返す。

// <0011> \{有子}「ここに暮らすみんなも、何かがない。失ってるんです。失い続けてるんです」
<0011> \{Yuuko}「ここに暮らすみんなも、何かがない。失ってるんです。失い続けてるんです」

// <0012> \{有子}「未来も希望もすべてがあるあの子をここに連れてくるわけにはいきません」
<0012> \{Yuuko}「未来も希望もすべてがあるあの子をここに連れてくるわけにはいきません」

// <0013> ともがここで暮らしていくということ。
<0013> ともがここで暮らしていくということ。

// <0014> それは、この失い続けている場所に、未来と希望を作る、ということだった。
<0014> それは、この失い続けている場所に、未来と希望を作る、ということだった。

// <0015> そんなことが可能なのだろうか。
<0015> そんなことが可能なのだろうか。

// <0016> \{朋也}「…どうしたものかな」
<0016> \{Tomoya}「…どうしたものかな」

// <0017> ぶつぶつと独り言を繰り返しながら廊下を歩くと、管理人がいた。
<0017> ぶつぶつと独り言を繰り返しながら廊下を歩くと、管理人がいた。

// <0018> 手には古めかしい掃除機を持ちながら、電源を入れたり消したりしている。
<0018> 手には古めかしい掃除機を持ちながら、電源を入れたり消したりしている。

// <0019> \{管理人}「あ、おはよ、よく眠れた?」
<0019> \{Manager}「Ah, Good morning, Did you sleep well?」

// <0020> \{朋也}「あまり」
<0020> \{Tomoya}「To much」

// <0021> 正直に答えた。
<0021> I answered honestly

// <0022> \{管理人}「そう…あー、何で電源入らないんだろう」
<0022> \{Manager}「Thats good, I wonder why the power won't go on 」

// <0023> \{朋也}「掃除機、どうかしたのか?」
<0023> \{Tomoya}「The vacuum cleaner?」

// <0024> \{管理人}「うん、急に電源入らなくなっちゃって」
<0024> \{Manager}「Yes, It suddenly stopped working」

// <0025> \{朋也}「コンセント、見たか? 結構あるぞ、そういうの」
<0025> \{Tomoya}「コンセント、見たか? 結構あるぞ、そういうの」

// <0026> \{管理人}「向こうで繋がってるわ」
<0026> \{Manager}「The wire is connected」

// <0027> 見ると、廊下の向こうから延長された電源ケーブルがぴんと張っていた。
<0027> 見ると、廊下の向こうから延長された電源ケーブルがぴんと張っていた。

// <0028> 角を曲がると、コンセントはちゃんと刺さっていた。
<0028> 角を曲がると、コンセントはちゃんと刺さっていた。

// <0029> \{朋也}「最初は動いたのか」
<0029> \{Tomoya}「最初は動いたのか」

// <0030> \{管理人}「ええ」
<0030> \{Manager}「Yes」

// <0031> 俺は延長コードを外し、本体のケーブルをコンセントに差し込んだ。
<0031> 俺は延長コードを外し、本体のケーブルをコンセントに差し込んだ。

// <0032> 掃除機は鈍いやかましい音を立てて動き出した。
<0032> 掃除機は鈍いやかましい音を立てて動き出した。

// <0033> \{朋也}「こいつだな、原因は」
<0033> \{Tomoya}「こいつだな、原因は」

// <0034> ぷらぷらと、延長コードを手で振ってみた。
<0034> ぷらぷらと、延長コードを手で振ってみた。

// <0035> なるほど、相応に古めかしい。
<0035> なるほど、相応に古めかしい。

// <0036> \{朋也}「…あー、通電がチェックできればな」
<0036> \{Tomoya}「…あー、通電がチェックできればな」

// <0037> 俺は外側の皮膜を丹念に指でなぞった。
<0037> 俺は外側の皮膜を丹念に指でなぞった。

// <0038> 一箇所、廊下の角に当たっていた部分が盛り上がり、皮が所々割れていた。
<0038> 一箇所、廊下の角に当たっていた部分が盛り上がり、皮が所々割れていた。

// <0039> \{朋也}「たぶん、ここだよ。断線してると思う」
<0039> \{Tomoya}「たぶん、ここだよ。断線してると思う」

// <0040> \{管理人}「わかるの?」
<0040> \{Manager}「Can you fix it?」

// <0041> \{朋也}「仕事、こういうのやってるから」
<0041> \{Tomoya}「仕事、こういうのやってるから」

// <0042> \{朋也}「切っていいなら、ニッパとゴム系テープ、半田ゴテで繋がるけど」
<0042> \{Tomoya}「切っていいなら、ニッパとゴム系テープ、半田ゴテで繋がるけど」

// <0043> \{管理人}「あるけど、切っちゃうと届かないのよね」
<0043> \{Manager}「I do, but I can't reach it」

// <0044> 管理人さんは、廊下の端を示した。
<0044> 管理人さんは、廊下の端を示した。

// <0045> \{管理人}「この長さでちょうど届くのよ」
<0045> \{Manager}「この長さでちょうど届くのよ」

// <0046> 俺はしばらく考えて、妙案を思いついた。
<0046> 俺はしばらく考えて、妙案を思いついた。

// <0047> \{朋也}「…もう使えない電化製品とか、どっかにないか?」
<0047> \{Tomoya}「…もう使えない電化製品とか、どっかにないか?」

// <0048> \{朋也}「電源コードだけあればいいから」
<0048> \{Tomoya}「電源コードだけあればいいから」

// <0049> \{管理人}「えっと、そんなのあったっけ…」
<0049> \{Manager}「Uhm, Did we have such a thing..」

// <0050> \{管理人}「…あ」
<0050> \{Manager}「...Ah」

// <0051> 俺は、管理人に山道へと連れられていった。
<0051> 俺は、管理人に山道へと連れられていった。

// <0052> 山道は急だったが、広く取られていた。
<0052> 山道は急だったが、広く取られていた。

// <0053> 舗装はされていないが車がすれ違えそうなくらいはある。
<0053> 舗装はされていないが車がすれ違えそうなくらいはある。

// <0054> \{朋也}「どこ連れていくんだ?」
<0054> \{Tomoya}「どこ連れていくんだ?」

// <0055> \{管理人}「あそこ、迷惑してるんだけど、たまに役に立つから」
<0055> \{Manager}「Over there, It might be a trouble but it can be of use sometimes 」

// <0056> 管理人さんが指し示した方には、黒々とした山があった。
<0056> 管理人さんが指し示した方には、黒々とした山があった。

// <0057> \{朋也}「…なんか、どっかで見たような」
<0057> \{Tomoya}「…なんか、どっかで見たような」

// <0058> 近づいてみると、そこには粗大ゴミがうずたかく積まれていた。
<0058> 近づいてみると、そこには粗大ゴミがうずたかく積まれていた。

// <0059> 見覚えがあるような気がしたが、同じような光景を会社でよく見ているのだ。
<0059> 見覚えがあるような気がしたが、同じような光景を会社でよく見ているのだ。

// <0060> \{管理人}「これ、不法投棄なのよね」
<0060> \{Manager}「これ、不法投棄なのよね」

// <0061> \{朋也}「勝手に捨ててくのか?」
<0061> \{Tomoya}「勝手に捨ててくのか?」

// <0062> \{管理人}「そ。何度も文句言ってたんだけど、しまいには会社ごとなくなっちゃって」
<0062> \{Manager}「そ。何度も文句言ってたんだけど、しまいには会社ごとなくなっちゃって」

// <0063> \{管理人}「結局そのままってわけ」
<0063> \{Manager}「In the end it was left like this」

// <0064> \{管理人}「村の役場にも言ったんだけど、なかなかね」
<0064> \{Manager}「村の役場にも言ったんだけど、なかなかね」

// <0065> 管理人さんは被せてあったビニールシートを剥がした。
<0065> 管理人さんは被せてあったビニールシートを剥がした。

// <0066> そこには割と綺麗な電化製品が並べられていた。
<0066> そこには割と綺麗な電化製品が並べられていた。

// <0067> \{管理人}「こういうのでいいかしら?」
<0067> \{Manager}「Is this one good?」

// <0068> \{朋也}「十分」
<0068> \{Tomoya}「Sufficient」

// <0069> 俺はなるべく長く腐食していないコードを探して、切った。
<0069> 俺はなるべく長く腐食していないコードを探して、切った。

// <0070> あとは簡単な作業だ。
<0070> あとは簡単な作業だ。

// <0071> 長さが足りなくなるのだから、足してやればいいだけだ。
<0071> 長さが足りなくなるのだから、足してやればいいだけだ。

// <0072> 延長コードの朽ちかけている部分だけを切り落し、持ってきたコードに繋いでやる。
<0072> 延長コードの朽ちかけている部分だけを切り落し、持ってきたコードに繋いでやる。

// <0073> 捻り止めた後、応急処置としてビニールテープを巻いてやり、作業は完了。
<0073> 捻り止めた後、応急処置としてビニールテープを巻いてやり、作業は完了。

// <0074> \{朋也}「これでしばらく動くだろ」
<0074> \{Tomoya}「これでしばらく動くだろ」

// <0075> スイッチを入れると、軽快に動き出す。
<0075> スイッチを入れると、軽快に動き出す。

// <0076> \{朋也}「でも、早いうちに新しい延長コードくらい買えよ? 危ないから」
<0076> \{Tomoya}「でも、早いうちに新しい延長コードくらい買えよ? 危ないから」

// <0077> 管理人は笑顔で頷いた。
<0077> 管理人は笑顔で頷いた。

// <0078> その後、お礼も兼ねてと、村を案内してもらった。
<0078> その後、お礼も兼ねてと、村を案内してもらった。

// <0079> 相変わらず村人には話しかけては逃げられたが、それでも村での生活や施設の役割などはわかってきた。
<0079> 相変わらず村人には話しかけては逃げられたが、それでも村での生活や施設の役割などはわかってきた。

// <0080> 村の中央に据えられた施設が、ようは村の根幹となるわけだ。
<0080> 村の中央に据えられた施設が、ようは村の根幹となるわけだ。

// <0081> 村人の多くはそこに住んでおり、一日のほとんどを農作業に費やしていた。
<0081> 村人の多くはそこに住んでおり、一日のほとんどを農作業に費やしていた。

// <0082> 一日か二日に一回、麓の町から医者がやってきているのも知った。
<0082> 一日か二日に一回、麓の町から医者がやってきているのも知った。

// <0083> ある意味、ここは病院をそのまま村にしたようなものだった。
<0083> ある意味、ここは病院をそのまま村にしたようなものだった。

// <0084> \{朋也}「…で、俺に何をしろと?」
<0084> \{Tomoya}「…で、俺に何をしろと?」

// <0085> 目の前には古びた洗濯機。
<0085> 目の前には古びた洗濯機。

// <0086> 懐かしさすら覚える、脱水機が別についた二槽式だ。
<0086> 懐かしさすら覚える、脱水機が別についた二槽式だ。

// <0087> \{管理人}「直せないかなって思って」
<0087> \{Manager}「I thought about fixing it」

// <0088> \{管理人}「暇なんでしょ?」
<0088> \{Manager}「You're free right?」

// <0089> \{朋也}「そう見えても仕方がないが暇じゃない」
<0089> \{Tomoya}「そう見えても仕方がないが暇じゃない」

// <0090> 考えることは山ほどあった。
<0090> 考えることは山ほどあった。

// <0091> \{女性}「………」
<0091> \{Woman}「.....」

// <0092> 管理人の後ろから怯えるように見ている女性がいた。
<0092> 管理人の後ろから怯えるように見ている女性がいた。

// <0093> \{朋也}「…後ろのひとは?」
<0093> \{Tomoya}「...People in the back?」

// <0094> \{管理人}「洗濯係の聡美さん。洗濯機が壊れたから、困ってるのよね」
<0094> \{Manager}「Satomi's in charge of laundry. But the washing machine is broken, It's quite a problem」

// <0095> \{朋也}「…わかったよ」
<0095> \{Tomoya}「...Alright」

// <0096> どうも断れそうもなかった。
<0096> どうも断れそうもなかった。

// <0097> \{朋也}「…工具、あるんだろうな」
<0097> \{Tomoya}「…工具、あるんだろうな」

// <0098> \{管理人}「はい、使えるものなら何でも使っていいわよ」
<0098> \{Manager}「Yes, You can use whatever」

// <0099> これもまた年季の入った工具箱が出てきた。
<0099> これもまた年季の入った工具箱が出てきた。

// <0100> \{朋也}「動かなくなったとき、どんな感じだった?」
<0100> \{Tomoya}「動かなくなったとき、どんな感じだった?」

// <0101> \{管理人}「いきなり唸りだして、そのうちスイッチも効かなくなったのよね」
<0101> \{Manager}「However with a sudden roar, The switch din't work anymore」

// <0102> 俺はいくつか、可能性のありそうなケースを頭で思い描いた。
<0102> 俺はいくつか、可能性のありそうなケースを頭で思い描いた。

// <0103> とはいえ、計測器具もなしにできることは少ない。
<0103> とはいえ、計測器具もなしにできることは少ない。

// <0104> 工具箱にテスターは入っていたが、そもそも仕事では使うことがない。
<0104> 工具箱にテスターは入っていたが、そもそも仕事では使うことがない。

// <0105> それでも通電チェックができるだけマシというものだろう。
<0105> それでも通電チェックができるだけマシというものだろう。

// <0106> ユニットごとにひとつずつ、通電しているかどうかを見ていた。
<0106> ユニットごとにひとつずつ、通電しているかどうかを見ていた。

// <0107> すると、後ろからさっきの女性が覗き込んでいた。
<0107> すると、後ろからさっきの女性が覗き込んでいた。

// <0108> \{女性}「…直るの?」
<0108> \{Woman}「..can you fix it?」

// <0109> この村に来て、初めて話しかけられたような気がする。
<0109> この村に来て、初めて話しかけられたような気がする。

// <0110> \{朋也}「まだ、わからない」
<0110> \{Tomoya}「Still, I Don't Know」

// <0111> \{朋也}「けどそんなに難しくないから、パーツさえ大丈夫ならいけると思う」
<0111> \{Tomoya}「けどそんなに難しくないから、パーツさえ大丈夫ならいけると思う」

// <0112> 一度、電源を入れてみたが、脱水機だけ動かなかったので、判断しやすいのは確かだ。
<0112> 一度、電源を入れてみたが、脱水機だけ動かなかったので、判断しやすいのは確かだ。

// <0113> 剥き出しのモーターに電源を入れると、快調に動いた。
<0113> 剥き出しのモーターに電源を入れると、快調に動いた。

// <0114> ここは問題ないらしい。
<0114> ここは問題ないらしい。

// <0115> 彼女は俺の手を食い入るように見ている。
<0115> 彼女は俺の手を食い入るように見ている。

// <0116> \{朋也}「興味、あるの?」
<0116> \{Tomoya}「Does it, interest you?」

// <0117> 俺が話しかけたら、びっくりしたようになり、物陰に逃げてしまった。
<0117> 俺が話しかけたら、びっくりしたようになり、物陰に逃げてしまった。

// <0118> \{朋也}「…悪い」
<0118> \{Tomoya}「...this is bad」

// <0119> 俺は手元に目を戻した。
<0119> 俺は手元に目を戻した。

// <0120> また、テスターの針をケーブルの根元に刺す。
<0120> また、テスターの針をケーブルの根元に刺す。

// <0121> …針が振れない。
<0121> …針が振れない。

// <0122> \{朋也}「ここか」
<0122> \{Tomoya}「Do this」

// <0123> 俺はメモ帳を取り出し、ケーブルの色と繋がりを書いていった。
<0123> 俺はメモ帳を取り出し、ケーブルの色と繋がりを書いていった。

// <0124> 後ろに気配を覚えると、彼女は同じようにメモ帳を覗き込んでいた。
<0124> 後ろに気配を覚えると、彼女は同じようにメモ帳を覗き込んでいた。

// <0125> \{朋也}「…GNDが電気の出ていく線で、赤が電気の入る線なんだ」
<0125> \{Tomoya}「…GNDが電気の出ていく線で、赤が電気の入る線なんだ」

// <0126> \{朋也}「この途中のどこかが切れてるから、それを見つければ直るよ」
<0126> \{Tomoya}「この途中のどこかが切れてるから、それを見つければ直るよ」

// <0127> 半ば独り言のように呟くと、彼女はきょとんとしてから、頷いてくれた。
<0127> 半ば独り言のように呟くと、彼女はきょとんとしてから、頷いてくれた。

// <0128> 使えるかどうかわからない半田ゴテで、ラインの接触を直していく。
<0128> 使えるかどうかわからない半田ゴテで、ラインの接触を直していく。

// <0129> 途中にあるヒューズが飛んでいたので、同じ抵抗のヒューズをゴミの山から探しだして付ける。
<0129> 途中にあるヒューズが飛んでいたので、同じ抵抗のヒューズをゴミの山から探しだして付ける。

// <0130> 可動部に油をさして、埃と汚れを取る。
<0130> 可動部に油をさして、埃と汚れを取る。

// <0131> そして、組み立てが終わる。
<0131> そして、組み立てが終わる。

// <0132> \{朋也}「スイッチ、入れてみてくれる?」
<0132> \{Tomoya}「スイッチ、入れてみてくれる?」

// <0133> 彼女は頷くと、恐る恐る脱水機のダイヤルを回した。
<0133> 彼女は頷くと、恐る恐る脱水機のダイヤルを回した。

// <0134> 洗濯機は鈍い音を立てながら振動を始めた。
<0134> 洗濯機は鈍い音を立てながら振動を始めた。

// <0135> \{女性}「………!」
<0135> \{Woman}「………!」

// <0136> 声は出さなかったが、何度も俺と洗濯機を見つめ、驚いているのはわかった。
<0136> 声は出さなかったが、何度も俺と洗濯機を見つめ、驚いているのはわかった。

// <0137> \{朋也}「よかったな」
<0137> \{Tomoya}「よかったな」

// <0138> もらってきたウエスで手の油を拭っていると、突然手を持たれた。
<0138> もらってきたウエスで手の油を拭っていると、突然手を持たれた。

// <0139> \{朋也}「お、おい、ちょっと…」
<0139> \{Tomoya}「お、おい、ちょっと…」

// <0140> \{女性}「あ、ありがと」
<0140> \{Woman}「Ah, Thank you」

// <0141> 小さな声の礼とは反対に、手はぶんぶんと振られ、彼女は嬉しそうに微笑んでくれた。
<0141> 小さな声の礼とは反対に、手はぶんぶんと振られ、彼女は嬉しそうに微笑んでくれた。

// <0142> 結局、その日は村中の修理をして終わった。
<0142> 結局、その日は村中の修理をして終わった。

// <0143> 管理人と洗濯係の彼女が、村中に触れ回った結果だった。
<0143> 管理人と洗濯係の彼女が、村中に触れ回った結果だった。

// <0144> \{管理人}「お疲れさま」
<0144> \{Manager}「Good work」

// <0145> \{朋也}「ああ、疲れたよ…」
<0145> \{Tomoya}「Ah, Im tired...」

// <0146> 疲れて座り込む俺の横に、お茶の入ったグラスを置いてくれる。
<0146> 疲れて座り込む俺の横に、お茶の入ったグラスを置いてくれる。

// <0147> 俺はそれを一気に飲み干す。
<0147> 俺はそれを一気に飲み干す。

// <0148> おかわり、と言うと、また注いでくれた。
<0148> おかわり、と言うと、また注いでくれた。

// <0149> こんなことしてる場合じゃないのに。
<0149> こんなことしてる場合じゃないのに。

// <0150> 俺はじっとその露のついたグラスを見つめながら、考えろ、考えろ、と自分を追い込む。
<0150> 俺はじっとその露のついたグラスを見つめながら、考えろ、考えろ、と自分を追い込む。

// <0151> \{管理人}「ずっと何を考えてるの?」
<0151> \{Manager}「What were you thinking about?」

// <0152> \{朋也}「え? いや」
<0152> \{Tomoya}「What? nothing」

// <0153> \{管理人}「有子さんと娘さんがここで共に暮らすには?」
<0153> \{Manager}「Yuuko's daughter together here」

// <0154> …的中。
<0154> ...Yes.

// <0155> \{管理人}「無理よ」
<0155> \{Manager}「Impossible」

// <0156> にべもない言い方だった。
<0156> にべもない言い方だった。

// <0157> \{管理人}「有子さんから聞いたでしょ」
<0157> \{Manager}「You heard from Yuuko right」

// <0158> 声色はあくまでも優しい。聞き分けのない子供を諭すように。
<0158> 声色はあくまでも優しい。聞き分けのない子供を諭すように。

// <0159> \{管理人}「この村は、何もない人が暮らす場所だって」
<0159> \{Manager}「この村は、何もない人が暮らす場所だって」

// <0160> \{管理人}「それにね、生活でも困ることが多いわ」
<0160> \{Manager}「それにね、生活でも困ることが多いわ」

// <0161> \{管理人}「聞くけど、ここに来るとき、山道を登ってきたでしょ?」
<0161> \{Manager}「聞くけど、ここに来るとき、山道を登ってきたでしょ?」

// <0162> \{管理人}「どれくらい時間、かかった?」
<0162> \{Manager}「どれくらい時間、かかった?」

// <0163> 大人の足でも二時間以上かかる。
<0163> 大人の足でも二時間以上かかる。

// <0164> \{管理人}「必要な買い物だって、それくらいかかるし」
<0164> \{Manager}「必要な買い物だって、それくらいかかるし」

// <0165> \{管理人}「地図にも載ってないような村だからね」
<0165> \{Manager}「地図にも載ってないような村だからね」

// <0166> \{管理人}「学校に通わせようなんて考え始めたら、もっと大変」
<0166> \{Manager}「学校に通わせようなんて考え始めたら、もっと大変」

// <0167> \{管理人}「そしてそこには、また世間というものがあるわけでしょ?」
<0167> \{Manager}「そしてそこには、また世間というものがあるわけでしょ?」

// <0168> \{管理人}「ここにいるから、今の有子さんは穏やかでいられるのよ」
<0168> \{Manager}「ここにいるから、今の有子さんは穏やかでいられるのよ」

// <0169> \{朋也}「あんたも、そういう…何かを失っているのか?」
<0169> \{Tomoya}「あんたも、そういう…何かを失っているのか?」

// <0170> \{管理人}「私は管理をしているだけで、そういうのではないけど…それが?」
<0170> \{Manager}「I was just trying to manage, what about it?」

// <0171> \{朋也}「じゃ、あんたが、送り迎えをする」
<0171> \{Tomoya}「Well,あんたが、送り迎えをする」

// <0172> \{管理人}「じゃ、誰がここの管理をするの?」
<0172> \{Manager}「Then, 誰がここの管理をするの?」

// <0173> \{管理人}「あなたがしてくれる?」
<0173> \{Manager}「Will you do it?」

// <0174> \{管理人}「給与はでないけど」
<0174> \{Manager}「給与はでないけど」

// <0175> \{管理人}「すべての生活を捨ててきてくれる?」
<0175> \{Manager}「すべての生活を捨ててきてくれる?」

// <0176> \{朋也}「………」
<0176> \{Tomoya}「………」

// <0177> 俺は首を縦に振ることができなかった。
<0177> 俺は首を縦に振ることができなかった。

// <0178> 村人にも俺の思いを話した。
<0178> 村人にも俺の思いを話した。

// <0179> 話だけは聞いてくれたが、誰もいい顔はしなかった。
<0179> 話だけは聞いてくれたが、誰もいい顔はしなかった。

Script Chart[edit]

June July August After Other
1st SEEN0701 SEEN0801 SEEN5000 SEEN7910
2nd SEEN0702 SEEN5001 SEEN7920
3rd SEEN0803 SEEN5002 SEEN7930
4th SEEN0804 SEEN5003 SEEN7940
6th SEEN0806 BAD END SEEN5004 SEEN7950
SEEN1806 SEEN5005
7th SEEN0707 SEEN0807 SEEN5006
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