Tomoyo After:SEEN0713

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// Resources for SEEN0713.TXT

// #character '女の子'
#character 'Girl'

// #character '朋也'
#character 'Tomoya'

// #character '智代'
#character 'Tomoyo'

// #character '河南子'
#character 'Kanako'

// #character 'とも'
#character 'Tomo'

// #character '鷹文'
#character 'Takafumi'

// #character 'クマ'
#character 'Bear'

// #character '声'
#character 'Voice'


// <0000> ７月１３日(火)
<0000> July 13th (Tue)

// <0001> 仕事を終えた、その日の帰り道。
<0001> 仕事を終えた、その日の帰り道。

// <0002> 地べたに、だらしなく座り込んでいる女の子の姿が視界に入った。
<0002> 地べたに、だらしなく座り込んでいる女の子の姿が視界に入った。

// <0003> なんとも行儀の悪いものだと辟易する。
<0003> なんとも行儀の悪いものだと辟易する。

// <0004> \{女の子}「ねぇ」
<0004> \{Girl}「ねぇ」

// <0005> 前を通り過ぎようとすると、声をかけられた。
<0005> 前を通り過ぎようとすると、声をかけられた。

// <0006> \{女の子}「ここらへんの人？」
<0006> \{Girl}「ここらへんの人？」

// <0007> \{朋也}「まぁ」
<0007> \{Tomoya}「まぁ」

// <0008> 足を止め、そう答える。
<0008> 足を止め、そう答える。

// <0009> \{女の子}「案内してくんない？」
<0009> \{Girl}「案内してくんない？」

// <0010> \{朋也}「どこに？」
<0010> \{Tomoya}「どこに？」

// <0011> \{女の子}「知り合いがいるアパート」
<0011> \{Girl}「知り合いがいるアパート」

// <0012> \{朋也}「もっと詳しく」
<0012> \{Tomoya}「もっと詳しく」

// <0013> \{女の子}「それ以外はなし」
<0013> \{Girl}「それ以外はなし」

// <0014> \{朋也}「適当だな」
<0014> \{Tomoya}「適当だな」

// <0015> \{朋也}「まあ、いい。その知り合いの名前言えよ」
<0015> \{Tomoya}「まあ、いい。その知り合いの名前言えよ」

// <0016> \{女の子}「なんだっけかな…」
<0016> \{Girl}「なんだっけかな…」

// <0017> \{女の子}「ああ、坂上だ」
<0017> \{Girl}「ああ、坂上だ」

// <0018> よくある苗字じゃない。
<0018> よくある苗字じゃない。

// <0019> \{朋也}「…智代か？」
<0019> \{Tomoya}「…智代か？」

// <0020> \{女の子}「知ってるんだ」
<0020> \{Girl}「知ってるんだ」

// <0021> \{朋也}「まあ」
<0021> \{Tomoya}「まあ」

// <0022> \{女の子}「でも残念。探してるのは、その弟」
<0022> \{Girl}「でも残念。探してるのは、その弟」

// <0023> \{朋也}「鷹文か」
<0023> \{Tomoya}「鷹文か」

// <0024> \{女の子}「そう」
<0024> \{Girl}「そう」

// <0025> \{女の子}「つーか、なんでそんな詳しいんだ？」
<0025> \{Girl}「つーか、なんでそんな詳しいんだ？」

// <0026> \{朋也}「ふたりの知り合いだから」
<0026> \{Tomoya}「ふたりの知り合いだから」

// <0027> \{女の子}「なに？」
<0027> \{Girl}「なに？」

// <0028> \{女の子}「…あ、坂上の男？」
<0028> \{Girl}「…あ、坂上の男？」

// <0029> ずばり言い当てられる。
<0029> ずばり言い当てられる。

// <0030> \{朋也}「まあ」
<0030> \{Tomoya}「まあ」

// <0031> 隠す理由もなかったので、否定はしないでおく。
<0031> 隠す理由もなかったので、否定はしないでおく。

// <0032> \{女の子}「それ、すげーね」
<0032> \{Girl}「それ、すげーね」

// <0033> \{女の子}「あの人の男、見られるとは思わんかった」
<0033> \{Girl}「あの人の男、見られるとは思わんかった」

// <0034> \{女の子}「噂聞いてるんだ、丸くなったって」
<0034> \{Girl}「噂聞いてるんだ、丸くなったって」

// <0035> \{女の子}「それから会ってないんだけどさ」
<0035> \{Girl}「それから会ってないんだけどさ」

// <0036> \{女の子}「うわ、だる…」
<0036> \{Girl}「うわ、だる…」

// <0037> しゃべり疲れたのか、いきなり黙る。
<0037> しゃべり疲れたのか、いきなり黙る。

// <0038> \{女の子}「………」
<0038> \{Girl}「………」

// <0039> しばし待たされる。
<0039> しばし待たされる。

// <0040> \{女の子}「で、鷹文が入り浸ってるアパートわかる？」
<0040> \{Girl}「で、鷹文が入り浸ってるアパートわかる？」

// <0041> \{朋也}「まあ」
<0041> \{Tomoya}「まあ」

// <0042> \{女の子}「案内して」
<0042> \{Girl}「案内して」

// <0043> \{朋也}「…ま、いいけど」
<0043> \{Tomoya}「…ま、いいけど」

// <0044> \{女の子}「………」
<0044> \{Girl}「………」

// <0045> そう答えるも、女が立ち上がる気配はない。
<0045> そう答えるも、女が立ち上がる気配はない。

// <0046> \{朋也}「どうした」
<0046> \{Tomoya}「どうした」

// <0047> \{女の子}「………」
<0047> \{Girl}「………」

// <0048> \{女の子}「暑くて動けん」
<0048> \{Girl}「暑くて動けん」

// <0049> \{朋也}「あ、そ」
<0049> \{Tomoya}「あ、そ」

// <0050> \{女の子}「………」
<0050> \{Girl}「………」

// <0051> \{女の子}「…アイス」
<0051> \{Girl}「…アイス」

// <0052> \{朋也}「…がどうした」
<0052> \{Tomoya}「…がどうした」

// <0053> \{女の子}「買ってきて」
<0053> \{Girl}「買ってきて」

// <0054> \{朋也}「………」
<0054> \{Tomoya}「………」

// <0055> どんな奴であろうとも、鷹文の知り合いだということに変わりはない。
<0055> どんな奴であろうとも、鷹文の知り合いだということに変わりはない。

// <0056> \{朋也}（感謝しろよ、鷹文…）
<0056> \{Tomoya}（感謝しろよ、鷹文…）

// <0057> 近くの駄菓子屋でわざわざ調達してきてやる。
<0057> 近くの駄菓子屋でわざわざ調達してきてやる。

// <0058> \{朋也}「ほらよ」
<0058> \{Tomoya}「ほらよ」

// <0059> \{女の子}「ありがと～」
<0059> \{Girl}「ありがと～」

// <0060> \{女の子}「なんつって」
<0060> \{Girl}「なんつって」

// <0061> アイスを受け取るとそれだけ言って、包装を剥いて食べ始める。
<0061> アイスを受け取るとそれだけ言って、包装を剥いて食べ始める。

// <0062> \{朋也}「金払えよ」
<0062> \{Tomoya}「金払えよ」

// <0063> \{女の子}「………」
<0063> \{Girl}「………」

// <0064> 口にアイスをくわえたまま、サイフを開く。
<0064> 口にアイスをくわえたまま、サイフを開く。

// <0065> そこから１００円玉を取り出し、俺に差し出す。
<0065> そこから１００円玉を取り出し、俺に差し出す。

// <0066> \{女の子}「はい、百万円」
<0066> \{Girl}「はい、百万円」

// <0067> \{朋也}「………」
<0067> \{Tomoya}「………」

// <0068> 無言で受け取る俺。
<0068> 無言で受け取る俺。

// <0069> \{女の子}「笑えっつーの」
<0069> \{Girl}「笑えっつーの」

// <0070> ようやく立ち上がると、目も合わせず俺がやってきた方向に歩き始める。
<0070> ようやく立ち上がると、目も合わせず俺がやってきた方向に歩き始める。

// <0071> \{女の子}「で、どこよ」
<0071> \{Girl}「で、どこよ」

// <0072> しばらく行った先で振りかえる。
<0072> しばらく行った先で振りかえる。

// <0073> \{朋也}「逆だけどさ」
<0073> \{Tomoya}「逆だけどさ」

// <0074> \{女の子}「………」
<0074> \{Girl}「………」

// <0075> \{女の子}「…喧嘩うってる？」
<0075> \{Girl}「…喧嘩うってる？」

// <0076> \{朋也}「いや、俺、こっち向かってただろ」
<0076> \{Tomoya}「いや、俺、こっち向かってただろ」

// <0077> \{女の子}「まあ、いい。許しといてやる」
<0077> \{Girl}「まあ、いい。許しといてやる」

// <0078> \{女の子}「あはは、寛大だ、あたし」
<0078> \{Girl}「あはは、寛大だ、あたし」

// <0079> 笑いながら戻ってくる。
<0079> 笑いながら戻ってくる。

// <0080> \{女の子}「ほら案内」
<0080> \{Girl}「ほら案内」

// <0081> 鷹文…\p関係は知らないが一発殴っといていいか。
<0081> 鷹文…\p関係は知らないが一発殴っといていいか。

// <0082> \{朋也}「ここ」
<0082> \{Tomoya}「ここ」

// <0083> 門柱の影に立ち、振り返る。
<0083> 門柱の影に立ち、振り返る。

// <0084> \{女の子}「部屋は」
<0084> \{Girl}「部屋は」

// <0085> \{朋也}「１０２。そこ」
<0085> \{Tomoya}「１０２。そこ」

// <0086> \{女の子}「そ」
<0086> \{Girl}「そ」

// <0087> 俺の前を通り過ぎて部屋に向かってすたすた歩いていく。
<0087> 俺の前を通り過ぎて部屋に向かってすたすた歩いていく。

// <0088> 俺もその後に続く。
<0088> 俺もその後に続く。

// <0089> \{女の子}「なんで、ついてくんの」
<0089> \{Girl}「なんで、ついてくんの」

// <0090> ドアの前に立ち、女が振り返る。
<0090> ドアの前に立ち、女が振り返る。

// <0091> \{朋也}「俺の部屋だし」
<0091> \{Tomoya}「俺の部屋だし」

// <0092> \{女の子}「ん……」
<0092> \{Girl}「ん……」

// <0093> \{女の子}「あー、そーか、そういうことか」
<0093> \{Girl}「あー、そーか、そういうことか」

// <0094> \{女の子}「早く言えよ」
<0094> \{Girl}「早く言えよ」

// <0095> ノックもせずドアノブを回す。
<0095> ノックもせずドアノブを回す。

// <0096> がちゃり。
<0096> がちゃり。

// <0097> \{智代}「おかえりっ」
<0097> \{Tomoyo}「おかえりっ」

// <0098> 開けた先、智代が満面の笑みで出迎えていた。
<0098> 開けた先、智代が満面の笑みで出迎えていた。

// <0099> \{智代}「………」
<0099> \{Tomoyo}「………」

// <0100> \{女の子}「うわぁ…別人みたいになってる…」
<0100> \{Girl}「うわぁ…別人みたいになってる…」

// <0101> 智代はどーーーん！と、その場に崩れ落ちる。
<0101> 智代はどーーーん！と、その場に崩れ落ちる。

// <0102> \{智代}「か、河南子…」
<0102> \{Tomoyo}「か、河南子…」

// <0103> \{河南子}「うす、ご無沙汰しております、先輩」
<0103> \{Kanako}「うす、ご無沙汰しております、先輩」

// <0104> \{河南子}「エプロン似合ってますよ。超ラブラブ～なんつって」
<0104> \{Kanako}「エプロン似合ってますよ。超ラブラブ～なんつって」

// <0105> \{智代}「う…」
<0105> \{Tomoyo}「う…」

// <0106> \{智代}「ああ、お気に入りだ、超ラブラブだぞ、いいだろ！」
<0106> \{Tomoyo}「ああ、お気に入りだ、超ラブラブだぞ、いいだろ！」

// <0107> 智代は開き直った！
<0107> 智代は開き直った！

// <0108> \{とも}「パパ、かえった～？」
<0108> \{Tomo}「パパ、かえった～？」

// <0109> その足下からともが覗き込む。
<0109> その足下からともが覗き込む。

// <0110> \{智代}「………」
<0110> \{Tomoyo}「………」

// <0111> \{河南子}「………」
<0111> \{Kanako}「………」

// <0112> \{河南子}「えーと…」
<0112> \{Kanako}「えーと…」

// <0113> 河南子と呼ばれた女が指折り数え出す。
<0113> 河南子と呼ばれた女が指折り数え出す。

// <0114> \{河南子}「うわ…すげー頑張ったな」
<0114> \{Kanako}「うわ…すげー頑張ったな」

// <0115> \{智代}「あ…いや…この子は…」
<0115> \{Tomoyo}「あ…いや…この子は…」

// <0116> ともの前で自分の子供ではないと口に出して否定しきれない智代。
<0116> ともの前で自分の子供ではないと口に出して否定しきれない智代。

// <0117> \{智代}「うん、頑張ったんだっ！」
<0117> \{Tomoyo}「うん、頑張ったんだっ！」

// <0118> 引き続き開き直った！
<0118> 引き続き開き直った！

// <0119> \{とも}「おねぇちゃん、だれー？」
<0119> \{Tomo}「おねぇちゃん、だれー？」

// <0120> \{河南子}「ん？」
<0120> \{Kanako}「ん？」

// <0121> \{河南子}「河南子だよ」
<0121> \{Kanako}「河南子だよ」

// <0122> \{河南子}「あんたのママの古い知り合い」
<0122> \{Kanako}「あんたのママの古い知り合い」

// <0123> \{河南子}「で、鷹文のやつもここに住んでんの？」
<0123> \{Kanako}「で、鷹文のやつもここに住んでんの？」

// <0124> \{朋也}「いや、あいつは寄っていくだけ」
<0124> \{Tomoya}「いや、あいつは寄っていくだけ」

// <0125> \{河南子}「あ、そ。じゃ、待つ」
<0125> \{Kanako}「あ、そ。じゃ、待つ」

// <0126> \{朋也}「いいけどさ、おまえ、鷹文になんの用なの」
<0126> \{Tomoya}「いいけどさ、おまえ、鷹文になんの用なの」

// <0127> \{河南子}「え？」
<0127> \{Kanako}「え？」

// <0128> \{河南子}「あいつの子供ができた」
<0128> \{Kanako}「あいつの子供ができた」

// <0129> \{智代}「え…」
<0129> \{Tomoyo}「え…」

// <0130> 智代が真に受けて、絶句する。
<0130> 智代が真に受けて、絶句する。

// <0131> \{河南子}「なんつって」
<0131> \{Kanako}「なんつって」

// <0132> \{智代}「………」
<0132> \{Tomoyo}「………」

// <0133> \{河南子}「笑ってくんない？」
<0133> \{Kanako}「笑ってくんない？」

// <0134> \{智代}「あ、うん、冗談だったんだな、河南子は面白い子だな、ははは…」
<0134> \{Tomoyo}「あ、うん、冗談だったんだな、河南子は面白い子だな、ははは…」

// <0135> 智代は乾いた笑いしか浮かべられない。
<0135> 智代は乾いた笑いしか浮かべられない。

// <0136> 河南子は靴を脱いで、勝手に部屋に押し入る。俺はその靴を揃えてやってから上がる。
<0136> 河南子は靴を脱いで、勝手に部屋に押し入る。俺はその靴を揃えてやってから上がる。

// <0137> \{智代}「お茶を入れよう。今、晩ご飯の支度をしているんだ。一緒に食べていくか？」
<0137> \{Tomoyo}「お茶を入れよう。今、晩ご飯の支度をしているんだ。一緒に食べていくか？」

// <0138> \{河南子}「メニューなんなの」
<0138> \{Kanako}「メニューなんなの」

// <0139> \{智代}「お豆腐で作るハンバーグだ」
<0139> \{Tomoyo}「お豆腐で作るハンバーグだ」

// <0140> \{河南子}「えー豆腐でって…おいしいの、それ」
<0140> \{Kanako}「えー豆腐でって…おいしいの、それ」

// <0141> \{智代}「もちろん、うまいと思うぞ」
<0141> \{Tomoyo}「もちろん、うまいと思うぞ」

// <0142> \{河南子}「じゃ、食べてみる」
<0142> \{Kanako}「じゃ、食べてみる」

// <0143> \{朋也}「礼儀をまったく知らない奴だな」
<0143> \{Tomoya}「礼儀をまったく知らない奴だな」

// <0144> 呆れながら、俺は着替えを始める。
<0144> 呆れながら、俺は着替えを始める。

// <0145> \{河南子}「女の目の前で着替える奴に言われたくない」
<0145> \{Kanako}「女の目の前で着替える奴に言われたくない」

// <0146> \{朋也}「一間なんだから仕方ないだろ」
<0146> \{Tomoya}「一間なんだから仕方ないだろ」

// <0147> \{河南子}「つーか、この人数で、この部屋…」
<0147> \{Kanako}「つーか、この人数で、この部屋…」

// <0148> \{河南子}「甲斐性ないんだね」
<0148> \{Kanako}「甲斐性ないんだね」

// <0149> \{朋也}「ストレートに言うな」
<0149> \{Tomoya}「ストレートに言うな」

// <0150> \{とも}「かいしょーってなにー？」
<0150> \{Tomo}「かいしょーってなにー？」

// <0151> ともが興味を持って河南子に訊く。
<0151> ともが興味を持って河南子に訊く。

// <0152> \{河南子}「こういう不憫な生活を強いてるってこと」
<0152> \{Kanako}「こういう不憫な生活を強いてるってこと」

// <0153> \{とも}「ぜんぜんふべんじゃないよ？」
<0153> \{Tomo}「ぜんぜんふべんじゃないよ？」

// <0154> ともは不憫を不便と取り違えている。
<0154> ともは不憫を不便と取り違えている。

// <0155> \{とも}「すごくたのしいよー」
<0155> \{Tomo}「すごくたのしいよー」

// <0156> \{河南子}「お父さん、変えたほうがいいよ」
<0156> \{Kanako}「お父さん、変えたほうがいいよ」

// <0157> \{とも}「かえないよ」
<0157> \{Tomo}「かえないよ」

// <0158> \{智代}「そうだぞ、河南子」
<0158> \{Tomoyo}「そうだぞ、河南子」

// <0159> 智代がともの後ろにしゃがみ込んで、その小さな肩を抱きしめる。
<0159> 智代がともの後ろにしゃがみ込んで、その小さな肩を抱きしめる。

// <0160> \{智代}「この男は甲斐性はないかもしれないが、ちゃんと愛がある」
<0160> \{Tomoyo}「この男は甲斐性はないかもしれないが、ちゃんと愛がある」

// <0161> \{智代}「私のことも愛してくれてるし、とものことも愛してくれている」
<0161> \{Tomoyo}「私のことも愛してくれてるし、とものことも愛してくれている」

// <0162> \{智代}「愛があるのが一番。それはなによりも幸せなことだ」
<0162> \{Tomoyo}「愛があるのが一番。それはなによりも幸せなことだ」

// <0163> \{河南子}「それ、先輩の妄想だったりしない？」
<0163> \{Kanako}「それ、先輩の妄想だったりしない？」

// <0164> \{智代}「しない」
<0164> \{Tomoyo}「しない」

// <0165> \{河南子}「じゃ、ずっと続いていく愛があるって？」
<0165> \{Kanako}「じゃ、ずっと続いていく愛があるって？」

// <0166> \{智代}「うん、ある。朋也は私を永遠に愛してくれる」
<0166> \{Tomoyo}「うん、ある。朋也は私を永遠に愛してくれる」

// <0167> \{河南子}「そんな未来のことなんてわかんないじゃん」
<0167> \{Kanako}「そんな未来のことなんてわかんないじゃん」

// <0168> \{河南子}「そんな自信あってもさ、事故かなんかで、ぜんぶ記憶なくしちゃったらおしまいじゃん」
<0168> \{Kanako}「そんな自信あってもさ、事故かなんかで、ぜんぶ記憶なくしちゃったらおしまいじゃん」

// <0169> \{智代}「それでもだ」
<0169> \{Tomoyo}「それでもだ」

// <0170> \{智代}「それでも続いていく何かは残ると思う」
<0170> \{Tomoyo}「それでも続いていく何かは残ると思う」

// <0171> \{河南子}「ふーん…」
<0171> \{Kanako}「ふーん…」

// <0172> \{河南子}「つか、こげるよ」
<0172> \{Kanako}「つか、こげるよ」

// <0173> \{智代}「ん？　ああ、そうだった！」
<0173> \{Tomoyo}「ん？　ああ、そうだった！」

// <0174> 慌ただしく台所に戻る智代。
<0174> 慌ただしく台所に戻る智代。

// <0175> 俺も着替えをすませる。
<0175> 俺も着替えをすませる。

// <0176> \{河南子}「これ、あんたの？」
<0176> \{Kanako}「これ、あんたの？」

// <0177> 部屋の隅のパソコンを指さして訊く。
<0177> 部屋の隅のパソコンを指さして訊く。

// <0178> \{朋也}「いや、鷹文の」
<0178> \{Tomoya}「いや、鷹文の」

// <0179> \{河南子}「こんなのでなにやってんの、あいつ」
<0179> \{Kanako}「こんなのでなにやってんの、あいつ」

// <0180> \{朋也}「さあ」
<0180> \{Tomoya}「さあ」

// <0181> \{河南子}「………」
<0181> \{Kanako}「………」

// <0182> 勝手に電源を入れる。
<0182> 勝手に電源を入れる。

// <0183> \{河南子}「………」
<0183> \{Kanako}「………」

// <0184> 画面が浮かび上がると、理解できているのか、操作を始める。
<0184> 画面が浮かび上がると、理解できているのか、操作を始める。

// <0185> \{河南子}「いっぱいメールが来てる」
<0185> \{Kanako}「いっぱいメールが来てる」

// <0186> \{朋也}「やめとけ、後で怒られるぞ」
<0186> \{Tomoya}「やめとけ、後で怒られるぞ」

// <0187> \{河南子}「全部、英語だ…何書いてあるかわっかんね…」
<0187> \{Kanako}「全部、英語だ…何書いてあるかわっかんね…」

// <0188> \{河南子}「日本人をなめてるとしか思えないな」
<0188> \{Kanako}「日本人をなめてるとしか思えないな」

// <0189> \{河南子}「よし、ここは抗議だ」
<0189> \{Kanako}「よし、ここは抗議だ」

// <0190> かちゃかちゃ。
<0190> かちゃかちゃ。

// <0191> \{河南子}「うわ…おいしい」
<0191> \{Kanako}「うわ…おいしい」

// <0192> 智代の料理を一口食べて意外そうに言う。
<0192> 智代の料理を一口食べて意外そうに言う。

// <0193> \{智代}「そうか、よかった」
<0193> \{Tomoyo}「そうか、よかった」

// <0194> \{とも}「すごくおいしいよー！」
<0194> \{Tomo}「すごくおいしいよー！」

// <0195> \{智代}「ともも気に入ってくれたんだ。よかった」
<0195> \{Tomoyo}「ともも気に入ってくれたんだ。よかった」

// <0196> \{河南子}「あんた、こういうことできるんだなー」
<0196> \{Kanako}「あんた、こういうことできるんだなー」

// <0197> \{河南子}「その容姿で、料理までできたら、そりゃもてるよ。よかったね」
<0197> \{Kanako}「その容姿で、料理までできたら、そりゃもてるよ。よかったね」

// <0198> \{智代}「なにを言いだすんだ…」
<0198> \{Tomoyo}「なにを言いだすんだ…」

// <0199> \{朋也}「ばーか。容姿とか、料理が得意とか、そんなところに惚れたんじゃねぇよ」
<0199> \{Tomoya}「ばーか。容姿とか、料理が得意とか、そんなところに惚れたんじゃねぇよ」

// <0200> \{河南子}「じゃ、なに」
<0200> \{Kanako}「じゃ、なに」

// <0201> \{朋也}「同じ仲間だって、思ったんだよ」
<0201> \{Tomoya}「同じ仲間だって、思ったんだよ」

// <0202> \{朋也}「ぜんぜん気が合わない奴らの中でさ」
<0202> \{Tomoya}「ぜんぜん気が合わない奴らの中でさ」

// <0203> \{河南子}「そういうのって、一時の感情だよ、知ってる？」
<0203> \{Kanako}「そういうのって、一時の感情だよ、知ってる？」

// <0204> \{河南子}「その時の雰囲気、それだけ」
<0204> \{Kanako}「その時の雰囲気、それだけ」

// <0205> \{智代}「私と朋也は違う」
<0205> \{Tomoyo}「私と朋也は違う」

// <0206> \{河南子}「それも今だけだよ」
<0206> \{Kanako}「それも今だけだよ」

// <0207> \{河南子}「離婚する親って多いよ。あたしの友達も最近、片親になっちゃった」
<0207> \{Kanako}「離婚する親って多いよ。あたしの友達も最近、片親になっちゃった」

// <0208> \{河南子}「それにずっと続いてる家族もさ、冷めてる」
<0208> \{Kanako}「それにずっと続いてる家族もさ、冷めてる」

// <0209> \{河南子}「ようは惰性なんだ」
<0209> \{Kanako}「ようは惰性なんだ」

// <0210> \{智代}「ずっと続いていく愛はある、絶対に…」
<0210> \{Tomoyo}「ずっと続いていく愛はある、絶対に…」

// <0211> \{智代}「他の人のことはわからない…」
<0211> \{Tomoyo}「他の人のことはわからない…」

// <0212> \{智代}「でも、私たちは、その愛を持っている」
<0212> \{Tomoyo}「でも、私たちは、その愛を持っている」

// <0213> \{河南子}「持ってるんだ」
<0213> \{Kanako}「持ってるんだ」

// <0214> \{河南子}「このふたり、そんなに仲いいの？」
<0214> \{Kanako}「このふたり、そんなに仲いいの？」

// <0215> ともに訊く。
<0215> ともに訊く。

// <0216> \{とも}「ものすごくいいよー」
<0216> \{Tomo}「ものすごくいいよー」

// <0217> \{とも}「たくさんちゅーするよー」
<0217> \{Tomo}「たくさんちゅーするよー」

// <0218> \{智代}「ばか、とも…」
<0218> \{Tomoyo}「ばか、とも…」

// <0219> \{とも}「んー？」
<0219> \{Tomo}「んー？」

// <0220> がちゃりと、ノックもなしにドアが開く。
<0220> がちゃりと、ノックもなしにドアが開く。

// <0221> \{鷹文}「ただいま」
<0221> \{Takafumi}「ただいま」

// <0222> そこから顔を出したのは鷹文だった。
<0222> そこから顔を出したのは鷹文だった。

// <0223> \{朋也}「いや、ここおまえの家じゃないから」
<0223> \{Tomoya}「いや、ここおまえの家じゃないから」

// <0224> \{鷹文}「ああ、思わず言っちゃったよ」
<0224> \{Takafumi}「ああ、思わず言っちゃったよ」

// <0225> 靴を脱いであがってくる。
<0225> 靴を脱いであがってくる。

// <0226> \{鷹文}「あれ、お客さん？」
<0226> \{Takafumi}「あれ、お客さん？」

// <0227> 見慣れない後ろ姿に気づく。
<0227> 見慣れない後ろ姿に気づく。

// <0228> \{河南子}「うす、ご無沙汰しております」
<0228> \{Kanako}「うす、ご無沙汰しております」

// <0229> 笑顔で敬礼。
<0229> 笑顔で敬礼。

// <0230> \{智代}「ほら、河南子だ。おまえ、仲よかっただろ」
<0230> \{Tomoyo}「ほら、河南子だ。おまえ、仲よかっただろ」

// <0231> \{鷹文}「………」
<0231> \{Takafumi}「………」

// <0232> 鷹文がうつむく。その表情が読みとれなくなった。
<0232> 鷹文がうつむく。その表情が読みとれなくなった。

// <0233> \{鷹文}「…帰れよ」
<0233> \{Takafumi}「…帰れよ」

// <0234> そうぽつりと言った。
<0234> そうぽつりと言った。

// <0235> \{河南子}「いいじゃん、あんたの家でもなし」
<0235> \{Kanako}「いいじゃん、あんたの家でもなし」

// <0236> \{鷹文}「…帰れよ」
<0236> \{Takafumi}「…帰れよ」

// <0237> 声からしても、いつもの鷹文じゃない。
<0237> 声からしても、いつもの鷹文じゃない。

// <0238> その見慣れない態度を前に、智代も戸惑い気味だ。
<0238> その見慣れない態度を前に、智代も戸惑い気味だ。

// <0239> \{鷹文}「ここは僕の居場所だ」
<0239> \{Takafumi}「ここは僕の居場所だ」

// <0240> \{鷹文}「そして、その僕は、おまえとは縁を切った」
<0240> \{Takafumi}「そして、その僕は、おまえとは縁を切った」

// <0241> \{鷹文}「だから、帰れ」
<0241> \{Takafumi}「だから、帰れ」

// <0242> \{河南子}「………」
<0242> \{Kanako}「………」

// <0243> その言葉に初めて、河南子が感情の揺らぎを示す。
<0243> その言葉に初めて、河南子が感情の揺らぎを示す。

// <0244> \{とも}「おにぃちゃんとママもちゅーするんだよ、すごくなかいいんだよー」
<0244> \{Tomo}「おにぃちゃんとママもちゅーするんだよ、すごくなかいいんだよー」

// <0245> そこへ、ともの無邪気な声。
<0245> そこへ、ともの無邪気な声。

// <0246> \{河南子}「え…マジでっ？」
<0246> \{Kanako}「え…マジでっ？」

// <0247> \{智代}「いや…あれは冗談で…」
<0247> \{Tomoyo}「いや…あれは冗談で…」

// <0248> \{とも}「えー、じょうだんじゃないよー」
<0248> \{Tomo}「えー、じょうだんじゃないよー」

// <0249> \{智代}「あ、ああ、もちろん本気だとも」
<0249> \{Tomoyo}「あ、ああ、もちろん本気だとも」

// <0250> \{河南子}「ふーん、本気なんだ、すげーね」
<0250> \{Kanako}「ふーん、本気なんだ、すげーね」

// <0251> \{智代}「う…」
<0251> \{Tomoyo}「う…」

// <0252> \{智代}「うわああぁー、そんな私ひとりをいじめないでくれぇ！」
<0252> \{Tomoyo}「うわああぁー、そんな私ひとりをいじめないでくれぇ！」

// <0253> 板挟みに遭い、智代ひとり、ちゃぶ台の上に泣き伏せることに。
<0253> 板挟みに遭い、智代ひとり、ちゃぶ台の上に泣き伏せることに。

// <0254> 食事を済ますと、洗い物は後回しにして、智代はともを外に連れ出す。
<0254> 食事を済ますと、洗い物は後回しにして、智代はともを外に連れ出す。

// <0255> \{智代}「あのな、とも」
<0255> \{Tomoyo}「あのな、とも」

// <0256> そこでともを諭しにかかる。このままでは自分の精神が保たないと思ったのだろう。
<0256> そこでともを諭しにかかる。このままでは自分の精神が保たないと思ったのだろう。

// <0257> \{とも}「んー？」
<0257> \{Tomo}「んー？」

// <0258> \{智代}「う…この無邪気な顔を見ていると、すべてを許してしまいそうだ」
<0258> \{Tomoyo}「う…この無邪気な顔を見ていると、すべてを許してしまいそうだ」

// <0259> \{朋也}「簡単だな…」
<0259> \{Tomoya}「簡単だな…」

// <0260> \{朋也}「ほら、頑張れ」
<0260> \{Tomoya}「ほら、頑張れ」

// <0261> その背中を叩いてやる。
<0261> その背中を叩いてやる。

// <0262> \{智代}「あ、ああ」
<0262> \{Tomoyo}「あ、ああ」

// <0263> \{智代}「あのな、とも」
<0263> \{Tomoyo}「あのな、とも」

// <0264> \{とも}「うん」
<0264> \{Tomo}「うん」

// <0265> \{智代}「私と朋也については、まだいいんだが…」
<0265> \{Tomoyo}「私と朋也については、まだいいんだが…」

// <0266> \{智代}「その…鷹文のおにぃちゃんとちゅーしたことは、他の人には言ってはダメだ」
<0266> \{Tomoyo}「その…鷹文のおにぃちゃんとちゅーしたことは、他の人には言ってはダメだ」

// <0267> \{智代}「これは約束だ」
<0267> \{Tomoyo}「これは約束だ」

// <0268> \{とも}「どうして？」
<0268> \{Tomo}「どうして？」

// <0269> \{智代}「それは…世間体というか…えーと…」
<0269> \{Tomoyo}「それは…世間体というか…えーと…」

// <0270> \{智代}「とにかく、よくないことだからだ」
<0270> \{Tomoyo}「とにかく、よくないことだからだ」

// <0271> \{とも}「よくないことないよ！」
<0271> \{Tomo}「よくないことないよ！」

// <0272> ともが唐突に怒り出す。
<0272> ともが唐突に怒り出す。

// <0273> \{とも}「いっぱいしてないと、すきってわからないよ！」
<0273> \{Tomo}「いっぱいしてないと、すきってわからないよ！」

// <0274> \{とも}「とものママみたいにいなくなっちゃうよ！」
<0274> \{Tomo}「とものママみたいにいなくなっちゃうよ！」

// <0275> \{智代}「え…」
<0275> \{Tomoyo}「え…」

// <0276> \{とも}「そうなっても、いいの！？」
<0276> \{Tomo}「そうなっても、いいの！？」

// <0277> \{智代}「それは…」
<0277> \{Tomoyo}「それは…」

// <0278> \{とも}「いやだよ、うわあーーーーん！」
<0278> \{Tomo}「いやだよ、うわあーーーーん！」

// <0279> ともが智代を突き放して走っていく。そのままの勢いで、部屋に閉じこもってしまう。
<0279> ともが智代を突き放して走っていく。そのままの勢いで、部屋に閉じこもってしまう。

// <0280> \{智代}「く…」
<0280> \{Tomoyo}「く…」

// <0281> \{智代}「泣きたいのはこっちだぞ…」
<0281> \{Tomoyo}「泣きたいのはこっちだぞ…」

// <0282> \{朋也}「馬鹿、こんなことでへこたれてんなよ」
<0282> \{Tomoya}「馬鹿、こんなことでへこたれてんなよ」

// <0283> \{智代}「ああ…うん」
<0283> \{Tomoyo}「ああ…うん」

// <0284> \{智代}「じゃ…また、手伝ってくれるか？」
<0284> \{Tomoyo}「じゃ…また、手伝ってくれるか？」

// <0285> \{鷹文}「で、僕も招集ですか」
<0285> \{Takafumi}「で、僕も招集ですか」

// <0286> \{智代}「クマとパンダは仲良しだからな」
<0286> \{Tomoyo}「クマとパンダは仲良しだからな」

// <0287> \{朋也}「悪いな、鷹文」
<0287> \{Tomoya}「悪いな、鷹文」

// <0288> \{鷹文}「いや、いいけどさ」
<0288> \{Takafumi}「いや、いいけどさ」

// <0289> 河南子のことが引っかかるのか、不機嫌な表情のままクマの着ぐるみで身を包む。
<0289> 河南子のことが引っかかるのか、不機嫌な表情のままクマの着ぐるみで身を包む。

// <0290> 今度はこの格好で機嫌を取りながら諭しにかかろうという作戦だ。
<0290> 今度はこの格好で機嫌を取りながら諭しにかかろうという作戦だ。

// <0291> \{クマ}「でもさ、恐がられないかな。前にイメージ落としてるでしょ」
<0291> \{Bear}「でもさ、恐がられないかな。前にイメージ落としてるでしょ」

// <0292> 着ぐるみの頭の中からくぐもった声。
<0292> 着ぐるみの頭の中からくぐもった声。

// <0293> \{朋也}「そこは俺に任せろ」
<0293> \{Tomoya}「そこは俺に任せろ」

// <0294> \{朋也}「その能面のような無表情な顔を、仕事で培った工作技術で愛嬌のある笑顔に変身させてやろう」
<0294> \{Tomoya}「その能面のような無表情な顔を、仕事で培った工作技術で愛嬌のある笑顔に変身させてやろう」

// <0295> \{クマ}「………」
<0295> \{Bear}「………」

// <0296> \{智代}「ひとつ、いいか」
<0296> \{Tomoyo}「ひとつ、いいか」

// <0297> \{朋也}「なに」
<0297> \{Tomoya}「なに」

// <0298> \{智代}「…そもそもクマは笑うのか？」
<0298> \{Tomoyo}「…そもそもクマは笑うのか？」

// <0299> \{朋也}「そりゃ楽しいことがあれば笑うだろ」
<0299> \{Tomoya}「そりゃ楽しいことがあれば笑うだろ」

// <0300> \{智代}「いや、笑わないと思うぞ」
<0300> \{Tomoyo}「いや、笑わないと思うぞ」

// <0301> \{朋也}「え、そうなの？」
<0301> \{Tomoya}「え、そうなの？」

// <0302> \{智代}「例え、笑ったとしてもだ…」
<0302> \{Tomoyo}「例え、笑ったとしてもだ…」

// <0303> \{智代}「…これは可愛いのか？」
<0303> \{Tomoyo}「…これは可愛いのか？」

// <0304> \{朋也}「可愛いだろ」
<0304> \{Tomoya}「可愛いだろ」

// <0305> \{智代}「その…おまえの技術を馬鹿にしているわけではないが…」
<0305> \{Tomoyo}「その…おまえの技術を馬鹿にしているわけではないが…」

// <0306> \{智代}「なにか…その…悪い夢でも見ている気分だ…」
<0306> \{Tomoyo}「なにか…その…悪い夢でも見ている気分だ…」

// <0307> \{朋也}「それはメルヘンチックということだな。褒め言葉だ、ありがとう」
<0307> \{Tomoya}「それはメルヘンチックということだな。褒め言葉だ、ありがとう」

// <0308> \{智代}「いや…そうなのかな…」
<0308> \{Tomoyo}「いや…そうなのかな…」

// <0309> \{朋也}「たとえ、笑わなかったとしてもだ、この場はこれがいいと思うぞ」
<0309> \{Tomoya}「たとえ、笑わなかったとしてもだ、この場はこれがいいと思うぞ」

// <0310> \{朋也}「なぜなら可愛いからだ」
<0310> \{Tomoya}「なぜなら可愛いからだ」

// <0311> \{智代}「その自信がどこからくるのかいまいち理解はできないが、わかった…いいとしよう」
<0311> \{Tomoyo}「その自信がどこからくるのかいまいち理解はできないが、わかった…いいとしよう」

// <0312> \{智代}「それで、作戦の内容のほうだが、おまえたちは話すことができない」
<0312> \{Tomoyo}「それで、作戦の内容のほうだが、おまえたちは話すことができない」

// <0313> \{智代}「体を使って適当にパントマイムで伝えようとしてくれ」
<0313> \{Tomoyo}「体を使って適当にパントマイムで伝えようとしてくれ」

// <0314> \{智代}「そうしたら、私が、ともに対して謝罪と、そして世間体について説明するから」
<0314> \{Tomoyo}「そうしたら、私が、ともに対して謝罪と、そして世間体について説明するから」

// <0315> \{朋也}「オーケー、いこう」
<0315> \{Tomoya}「オーケー、いこう」

// <0316> パンダの頭をかぶり、クマとハイタッチ。
<0316> パンダの頭をかぶり、クマとハイタッチ。

// <0317> ドアの前に息を潜めて整列する。
<0317> ドアの前に息を潜めて整列する。

// <0318> 部屋の窓が開いていた。中から声が聞こえてくる。
<0318> 部屋の窓が開いていた。中から声が聞こえてくる。

// <0319> \{声}「うちは片親になって、三年が経つよ」
<0319> \{Voice}「うちは片親になって、三年が経つよ」

// <0320> 河南子の声だ。
<0320> 河南子の声だ。

// <0321> \{河南子}「早かったなぁ、あっという間だった」
<0321> \{Kanako}「早かったなぁ、あっという間だった」

// <0322> \{河南子}「だからかな…」
<0322> \{Kanako}「だからかな…」

// <0323> \{河南子}「母親のね、再婚話にまったく同意できなかったんだ」
<0323> \{Kanako}「母親のね、再婚話にまったく同意できなかったんだ」

// <0324> \{河南子}「反発するように出てきちゃった」
<0324> \{Kanako}「反発するように出てきちゃった」

// <0325> \{河南子}「あんたも、本当はここの子じゃないんでしょ」
<0325> \{Kanako}「あんたも、本当はここの子じゃないんでしょ」

// <0326> \{河南子}「あたしも同じように、ここにいさせてもらえるかな」
<0326> \{Kanako}「あたしも同じように、ここにいさせてもらえるかな」

// <0327> \{河南子}「いさせてほしいな…」
<0327> \{Kanako}「いさせてほしいな…」

// <0328> \{クマ}「………」
<0328> \{Bear}「………」

// <0329> \{朋也}「頼むから向こう向いててくれ」
<0329> \{Tomoya}「頼むから向こう向いててくれ」

// <0330> \{智代}「いこう」
<0330> \{Tomoyo}「いこう」

// <0331> \{とも}「わー、なにあれ！　ヘンなのきたーっ、こわーい！」
<0331> \{Tomo}「わー、なにあれ！　ヘンなのきたーっ、こわーい！」

// <0332> いきなりともに逃げられる。
<0332> いきなりともに逃げられる。

// <0333> \{河南子}「なんだ？　大道芸か？」
<0333> \{Kanako}「なんだ？　大道芸か？」

// <0334> \{クマ}「………」
<0334> \{Bear}「………」

// <0335> \{河南子}「素で引くから近づくな…」
<0335> \{Kanako}「素で引くから近づくな…」

// <0336> \{智代}「ああ、あのなっ、ともっ」
<0336> \{Tomoyo}「ああ、あのなっ、ともっ」

// <0337> 逆風を切り裂くように、智代が大声をあげる。
<0337> 逆風を切り裂くように、智代が大声をあげる。

// <0338> \{智代}「今からこいつらがお話してくれるから、よく聞いててくれっ」
<0338> \{Tomoyo}「今からこいつらがお話してくれるから、よく聞いててくれっ」

// <0339> \{河南子}「話できんの？　口塞がってるじゃん」
<0339> \{Kanako}「話できんの？　口塞がってるじゃん」

// <0340> 俺と鷹文は腕を動かしてみせる。
<0340> 俺と鷹文は腕を動かしてみせる。

// <0341> \{智代}「ああ、身振りで伝えるんだ」
<0341> \{Tomoyo}「ああ、身振りで伝えるんだ」

// <0342> \{河南子}「あー、そういうのあたし得意なんだ。翻訳は任せて」
<0342> \{Kanako}「あー、そういうのあたし得意なんだ。翻訳は任せて」

// <0343> 河南子が得意げに颯爽と立ち上がる。
<0343> 河南子が得意げに颯爽と立ち上がる。

// <0344> \{智代}「………」
<0344> \{Tomoyo}「………」

// <0345> 俺たち三人は凍りつく。この時点で作戦失敗を悟る。
<0345> 俺たち三人は凍りつく。この時点で作戦失敗を悟る。

// <0346> \{河南子}「ほら、動け、人面熊ども」
<0346> \{Kanako}「ほら、動け、人面熊ども」

// <0347> 俺は首を振る。
<0347> 俺は首を振る。

// <0348> \{河南子}「え、まじで？　いいの？」
<0348> \{Kanako}「え、まじで？　いいの？」

// <0349> \{河南子}「河南子も今日からこの家の仲間だって」
<0349> \{Kanako}「河南子も今日からこの家の仲間だって」

// <0350> 都合良く翻訳される。
<0350> 都合良く翻訳される。

// <0351> \{とも}「えー、ほんとーっ！？　よかったねー」
<0351> \{Tomo}「えー、ほんとーっ！？　よかったねー」

// <0352> \{河南子}「え、そこまで。悪いね」
<0352> \{Kanako}「え、そこまで。悪いね」

// <0353> まだ翻訳は続いた。
<0353> まだ翻訳は続いた。

// <0354> \{河南子}「それと、アイス買ってきてくれるって」
<0354> \{Kanako}「それと、アイス買ってきてくれるって」

// <0355> \{とも}「アイスー！？　とも、チョコのつぶつぶついたのがいいーーっ」
<0355> \{Tomo}「アイスー！？　とも、チョコのつぶつぶついたのがいいーーっ」

// <0356> \{河南子}「よかったねー」
<0356> \{Kanako}「よかったねー」

// <0357> \{朋也}「なぜこんなことに…」
<0357> \{Tomoya}「なぜこんなことに…」

// <0358> 俺たちは自転車に二人乗りして夜道を走っていた。
<0358> 俺たちは自転車に二人乗りして夜道を走っていた。

// <0359> 俺が金を払う役、鷹文が自転車をこぐ役だ。
<0359> 俺が金を払う役、鷹文が自転車をこぐ役だ。

// <0360> \{朋也}「おまえ知ってたのか？」
<0360> \{Tomoya}「おまえ知ってたのか？」

// <0361> \{鷹文}「なにを」
<0361> \{Takafumi}「なにを」

// <0362> \{朋也}「あいつが家を飛び出してきたって話」
<0362> \{Tomoya}「あいつが家を飛び出してきたって話」

// <0363> \{鷹文}「知らないって。そもそもずっと口を聞いてなかったんだから」
<0363> \{Takafumi}「知らないって。そもそもずっと口を聞いてなかったんだから」

// <0364> \{朋也}「向こうはおまえを頼ってきたみたいだけど」
<0364> \{Tomoya}「向こうはおまえを頼ってきたみたいだけど」

// <0365> \{鷹文}「口実でしょ」
<0365> \{Takafumi}「口実でしょ」

// <0366> 緩やかなスロープを下っていく。速度が上がる。
<0366> 緩やかなスロープを下っていく。速度が上がる。

// <0367> 鷹文はこぐのをやめ、車輪が転がるに任せた。
<0367> 鷹文はこぐのをやめ、車輪が転がるに任せた。

// <0368> \{鷹文}「昔、付き合ってたんだ」
<0368> \{Takafumi}「昔、付き合ってたんだ」

// <0369> \{朋也}「だろうな。そんな気がした」
<0369> \{Tomoya}「だろうな。そんな気がした」

// <0370> \{鷹文}「でも長続きしなかった」
<0370> \{Takafumi}「でも長続きしなかった」

// <0371> \{鷹文}「ほら、あいつ、口が悪いでしょ」
<0371> \{Takafumi}「ほら、あいつ、口が悪いでしょ」

// <0372> \{鷹文}「勉強もロクにできないし」
<0372> \{Takafumi}「勉強もロクにできないし」

// <0373> \{鷹文}「ねぇちゃんのように、甲斐性もないし」
<0373> \{Takafumi}「ねぇちゃんのように、甲斐性もないし」

// <0374> \{鷹文}「女の子らしいところ、ひとつもないんだ」
<0374> \{Takafumi}「女の子らしいところ、ひとつもないんだ」

// <0375> \{鷹文}「あの様子だと、進学してからも、遊んでるみたいだね」
<0375> \{Takafumi}「あの様子だと、進学してからも、遊んでるみたいだね」

// <0376> \{朋也}「ふーん」
<0376> \{Tomoya}「ふーん」

// <0377> \{朋也}「でも、寂しそうだったな」
<0377> \{Tomoya}「でも、寂しそうだったな」

// <0378> \{河南子}「あたしも同じように、ここにいさせてもらえるかな」
<0378> \{Kanako}「あたしも同じように、ここにいさせてもらえるかな」

// <0379> \{河南子}「いさせてほしいな…」
<0379> \{Kanako}「いさせてほしいな…」

// <0380> \{クマ}「………」
<0380> \{Bear}「………」

// <0381> \{朋也}「み、未練あるんじゃないの？」
<0381> \{Tomoya}「み、未練あるんじゃないの？」

// <0382> \{鷹文}「なんで半笑いなの？」
<0382> \{Takafumi}「なんで半笑いなの？」

// <0383> \{朋也}「ああ、いや」
<0383> \{Tomoya}「ああ、いや」

// <0384> \{鷹文}「僕はないけど」
<0384> \{Takafumi}「僕はないけど」

// <0385> \{鷹文}「そりゃ、向こうは知らないけどさ」
<0385> \{Takafumi}「そりゃ、向こうは知らないけどさ」

// <0386> \{鷹文}「でも、もう三年前の話だよ…」
<0386> \{Takafumi}「でも、もう三年前の話だよ…」

// <0387> 三年前。
<0387> 三年前。

// <0388> 『…うちは片親になって、三年経つよ』
<0388> 『…うちは片親になって、三年経つよ』

// <0389> \{朋也}「三年前、何かあったか？」
<0389> \{Tomoya}「三年前、何かあったか？」

// <0390> \{鷹文}「特には」
<0390> \{Takafumi}「特には」

// <0391> \{鷹文}「僕が車道に飛び込んだぐらいで」
<0391> \{Takafumi}「僕が車道に飛び込んだぐらいで」

// <0392> \{河南子}「ありがとー」
<0392> \{Kanako}「ありがとー」

// <0393> コンビニの袋を渡すと、嬉々として中身を取り出す。
<0393> コンビニの袋を渡すと、嬉々として中身を取り出す。

// <0394> \{河南子}「はい、こっちとものー」
<0394> \{Kanako}「はい、こっちとものー」

// <0395> ともも嬉しそうに袋から取り出し、はむはむと食べ始める。
<0395> ともも嬉しそうに袋から取り出し、はむはむと食べ始める。

// <0396> \{河南子}「で、この子なんなの」
<0396> \{Kanako}「で、この子なんなの」

// <0397> 言って、ともの額に人差し指をつける。
<0397> 言って、ともの額に人差し指をつける。

// <0398> \{とも}「んー？」
<0398> \{Tomo}「んー？」

// <0399> \{智代}「私が頑張ったんだっ」
<0399> \{Tomoyo}「私が頑張ったんだっ」

// <0400> \{河南子}「計算が合わないのばれてるから」
<0400> \{Kanako}「計算が合わないのばれてるから」

// <0401> \{智代}「う…」
<0401> \{Tomoyo}「う…」

// <0402> \{朋也}「なんだっていいだろ」
<0402> \{Tomoya}「なんだっていいだろ」

// <0403> \{河南子}「いいことないよ」
<0403> \{Kanako}「いいことないよ」

// <0404> \{河南子}「あたしも今日から一緒に暮らすんだし、事情知っとかないと」
<0404> \{Kanako}「あたしも今日から一緒に暮らすんだし、事情知っとかないと」

// <0405> 俺は無言で鷹文に目配し、それからコンピュータの画面を指さす。
<0405> 俺は無言で鷹文に目配し、それからコンピュータの画面を指さす。

// <0406> 意図を察した鷹文がその前に座り、キーを叩き始める。
<0406> 意図を察した鷹文がその前に座り、キーを叩き始める。

// <0407> こっちに来て読め、と鷹文が河南子に向けて顎で指図する。
<0407> こっちに来て読め、と鷹文が河南子に向けて顎で指図する。

// <0408> \{河南子}「ん…？」
<0408> \{Kanako}「ん…？」

// <0409> アイスを食べながら、その前に座り込む。
<0409> アイスを食べながら、その前に座り込む。

// <0410> \{河南子}「うちの父親の隠し子で…」
<0410> \{Kanako}「うちの父親の隠し子で…」

// <0411> すぱーーんっ！\shake{4}
<0411> すぱーーんっ！\shake{4}

// <0412> 音読し始めた河南子の頭を鷹文が平手ではたく。
<0412> 音読し始めた河南子の頭を鷹文が平手ではたく。

// <0413> すぱーーーんっ！\shake{4}
<0413> すぱーーーんっ！\shake{4}

// <0414> 河南子がやり返す。
<0414> 河南子がやり返す。

// <0415> すぱーーんっ！\shake{4}
<0415> すぱーーんっ！\shake{4}

// <0416> 鷹文が返す。
<0416> 鷹文が返す。

// <0417> すぱーーーんっ！\shake{4}
<0417> すぱーーーんっ！\shake{4}

// <0418> 河南子がやり返す。
<0418> 河南子がやり返す。

// <0419> すぱーん！\shake{3}　
<0419> すぱーん！\shake{3}　

// <0420> すぱーん！\shake{4}　
<0420> すぱーん！\shake{4}　

// <0421> すぱーん！\shake{3}　
<0421> すぱーん！\shake{3}　

// <0422> すぱーん！\shake{4}　
<0422> すぱーん！\shake{4}　

// <0423> すぱーん！\shake{3}　
<0423> すぱーん！\shake{3}　

// <0424> すぱーん！\shake{4}　
<0424> すぱーん！\shake{4}　

// <0425> すぱん！　
<0425> すぱん！　

// <0426> すぱん！　
<0426> すぱん！　

// <0427> すぱん！　
<0427> すぱん！　

// <0428> すぱん！　
<0428> すぱん！　

// <0429> すぱん！　
<0429> すぱん！　

// <0430> すぱん！　
<0430> すぱん！　

// <0431> すぱん！　
<0431> すぱん！　

// <0432> すぱん！
<0432> すぱん！

// <0433> どつきあいになる。
<0433> どつきあいになる。

// <0434> \{智代}「こらこら、何を喧嘩してるんだ」
<0434> \{Tomoyo}「こらこら、何を喧嘩してるんだ」

// <0435> 智代が仲裁に入る。
<0435> 智代が仲裁に入る。

// <0436> \{鷹文}「こいつが声出して読むから」
<0436> \{Takafumi}「こいつが声出して読むから」

// <0437> \{智代}「ん？　なにをだ？」
<0437> \{Tomoyo}「ん？　なにをだ？」

// <0438> 鷹文が指さす画面を智代も腰を折って覗き込む。
<0438> 鷹文が指さす画面を智代も腰を折って覗き込む。

// <0439> \{智代}「うちの父親の隠し子で…」
<0439> \{Tomoyo}「うちの父親の隠し子で…」

// <0440> すぱぱぱーーん！
<0440> すぱぱぱーーん！

// <0441> 鷹文と俺と河南子の三人が同時に智代にツッコミを入れていた。
<0441> 鷹文と俺と河南子の三人が同時に智代にツッコミを入れていた。

// <0442> \{智代}「…私が悪かった」
<0442> \{Tomoyo}「…私が悪かった」

// <0443> \{鷹文}「というわけだよ。理解しただろ」
<0443> \{Takafumi}「というわけだよ。理解しただろ」

// <0444> \{河南子}「ふーん…すごいことになってんだね」
<0444> \{Kanako}「ふーん…すごいことになってんだね」

// <0445> 言いながら、ともを見る。
<0445> 言いながら、ともを見る。

// <0446> \{とも}「ん？」
<0446> \{Tomo}「ん？」

// <0447> その視線に気づいてともが河南子を見つめ返す。
<0447> その視線に気づいてともが河南子を見つめ返す。

// <0448> 河南子は何も言わず、笑顔を作る。
<0448> 河南子は何も言わず、笑顔を作る。

// <0449> それでともは、安心したように、アイスを食べるのに戻った。
<0449> それでともは、安心したように、アイスを食べるのに戻った。

// <0450> \{鷹文}「なんだ、これぇ…」
<0450> \{Takafumi}「なんだ、これぇ…」

// <0451> 反対側から、怪訝な声があがる。
<0451> 反対側から、怪訝な声があがる。

// <0452> \{朋也}「どうした」
<0452> \{Tomoya}「どうした」

// <0453> \{鷹文}「メールチェックしたら、みんなが怒ってるんだ、いっせいに…いったい何が…」
<0453> \{Takafumi}「メールチェックしたら、みんなが怒ってるんだ、いっせいに…いったい何が…」

// <0454> \{朋也}「ああ、こいつがひとりずつ丁寧に Fxxx You! と書いて送り返していたぞ」
<0454> \{Tomoya}「ああ、こいつがひとりずつ丁寧に Fxxx You! と書いて送り返していたぞ」

// <0455> \{河南子}「ばらすなよ」
<0455> \{Kanako}「ばらすなよ」

// <0456> \{鷹文}「なんてことすんだよおーっ！」
<0456> \{Takafumi}「なんてことすんだよおーっ！」

// <0457> \{鷹文}「中には、女の子や知り合ったばかりの人もいたんだぞっ！」
<0457> \{Takafumi}「中には、女の子や知り合ったばかりの人もいたんだぞっ！」

// <0458> \{河南子}「冗談じゃん、笑ってよ」
<0458> \{Kanako}「冗談じゃん、笑ってよ」

// <0459> \{鷹文}「笑えるかよっ」
<0459> \{Takafumi}「笑えるかよっ」

// <0460> \{河南子}「いいじゃん、ほら、いい機会じゃん」
<0460> \{Kanako}「いいじゃん、ほら、いい機会じゃん」

// <0461> \{鷹文}「なんのだよ…」
<0461> \{Takafumi}「なんのだよ…」

// <0462> \{河南子}「そんな連中と縁を切る」
<0462> \{Kanako}「そんな連中と縁を切る」

// <0463> \{河南子}「他にも楽しいこといっぱいあるよ」
<0463> \{Kanako}「他にも楽しいこといっぱいあるよ」

// <0464> \{鷹文}「これが、楽しいんだよ…」
<0464> \{Takafumi}「これが、楽しいんだよ…」

// <0465> 言って、カタカタとキーボードを打ち始める。
<0465> 言って、カタカタとキーボードを打ち始める。

// <0466> \{智代}「鷹文、わざわざ来てくれたんだ、もう少し相手してやれ」
<0466> \{Tomoyo}「鷹文、わざわざ来てくれたんだ、もう少し相手してやれ」

// <0467> \{鷹文}「わざわざ来てくれて、この仕打ちはないでしょ」
<0467> \{Takafumi}「わざわざ来てくれて、この仕打ちはないでしょ」

// <0468> \{河南子}「いいよ、こいつの冷たいの慣れてるんだ」
<0468> \{Kanako}「いいよ、こいつの冷たいの慣れてるんだ」

// <0469> \{河南子}「最初のエッチの後も、冷たかったよね」
<0469> \{Kanako}「最初のエッチの後も、冷たかったよね」

// <0470> \{智代}「……！」
<0470> \{Tomoyo}「……！」

// <0471> …空気が凍りつく。
<0471> …空気が凍りつく。

// <0472> \{鷹文}「いや、してないし」
<0472> \{Takafumi}「いや、してないし」

// <0473> 場を取り繕おうとしていた智代ががくんと項垂れる。
<0473> 場を取り繕おうとしていた智代ががくんと項垂れる。

// <0474> \{河南子}「なんつって」
<0474> \{Kanako}「なんつって」

// <0475> \{朋也}「俺はおまえの笑える冗談を一度でいいから聞いてみたい」
<0475> \{Tomoya}「俺はおまえの笑える冗談を一度でいいから聞いてみたい」

// <0476> \{河南子}「なにぃ？」
<0476> \{Kanako}「なにぃ？」

// <0477> \{河南子}「まるですべってるみたいじゃないか」
<0477> \{Kanako}「まるですべってるみたいじゃないか」

// <0478> \{朋也}「いや、ウケてはないだろ」
<0478> \{Tomoya}「いや、ウケてはないだろ」

// <0479> \{河南子}「ここがおかしいんだって。学校じゃどっかんどっかんいわせてる」
<0479> \{Kanako}「ここがおかしいんだって。学校じゃどっかんどっかんいわせてる」

// <0480> \{鷹文}「ありえない」
<0480> \{Takafumi}「ありえない」

// <0481> \{河南子}「じゃ、おまえ、笑えるギャグ言ってみろよ、笑えんかったらしばく」
<0481> \{Kanako}「じゃ、おまえ、笑えるギャグ言ってみろよ、笑えんかったらしばく」

// <0482> \{鷹文}「そのキレ方、わけわかんないから」
<0482> \{Takafumi}「そのキレ方、わけわかんないから」

// <0483> \{智代}「こらこら喧嘩するな、あーもう、いつからそんなに仲が悪くなったんだ？」
<0483> \{Tomoyo}「こらこら喧嘩するな、あーもう、いつからそんなに仲が悪くなったんだ？」

// <0484> \{智代}「昔は一緒に遊んでたじゃないか」
<0484> \{Tomoyo}「昔は一緒に遊んでたじゃないか」

// <0485> ぶぅん、と鷹文のパソコンの電源が落ちる。
<0485> ぶぅん、と鷹文のパソコンの電源が落ちる。

// <0486> \{鷹文}「じゃあ、そろそろ帰るよ」
<0486> \{Takafumi}「じゃあ、そろそろ帰るよ」

// <0487> 鷹文が立ち上がる。
<0487> 鷹文が立ち上がる。

// <0488> \{河南子}「あ、帰るんだ」
<0488> \{Kanako}「あ、帰るんだ」

// <0489> \{鷹文}「帰るよ。住んでるわけじゃない」
<0489> \{Takafumi}「帰るよ。住んでるわけじゃない」

// <0490> \{河南子}「お疲れさん」
<0490> \{Kanako}「お疲れさん」

// <0491> \{鷹文}「おまえもあんまり迷惑かけるなよ」
<0491> \{Takafumi}「おまえもあんまり迷惑かけるなよ」

// <0492> \{河南子}「迷惑かけないよ。どちらかっていうと、サービスしますとも」
<0492> \{Kanako}「迷惑かけないよ。どちらかっていうと、サービスしますとも」

// <0493> \{鷹文}「帰れ」
<0493> \{Takafumi}「帰れ」

// <0494> \{河南子}「ともさん、あのおにぃちゃん、河南のこと追い出そうとしてますよ」
<0494> \{Kanako}「ともさん、あのおにぃちゃん、河南のこと追い出そうとしてますよ」

// <0495> \{とも}「もーダメだよー、おにーちゃん」
<0495> \{Tomo}「もーダメだよー、おにーちゃん」

// <0496> ともを味方につける河南子。
<0496> ともを味方につける河南子。

// <0497> \{鷹文}「最悪だ…帰る」
<0497> \{Takafumi}「最悪だ…帰る」

// <0498> 鷹文は撤退を決め込む。
<0498> 鷹文は撤退を決め込む。

// <0499> \{とも}「ばいばーい」
<0499> \{Tomo}「ばいばーい」

// <0500> ともに見送られる。
<0500> ともに見送られる。

// <0501> \{河南子}「ここ、お風呂あんの？」
<0501> \{Kanako}「ここ、お風呂あんの？」

// <0502> 鷹文がいなくなると、することがなくなってか、そう訊いてくる。
<0502> 鷹文がいなくなると、することがなくなってか、そう訊いてくる。

// <0503> 俺は無言のまま、玄関脇にある戸を顎で指し示す。
<0503> 俺は無言のまま、玄関脇にある戸を顎で指し示す。

// <0504> \{智代}「河南子が一番に入るか。着替えを用意しておこう。私のでいいな」
<0504> \{Tomoyo}「河南子が一番に入るか。着替えを用意しておこう。私のでいいな」

// <0505> \{河南子}「いいよ」
<0505> \{Kanako}「いいよ」

// <0506> 河南子が風呂場に姿を消す。
<0506> 河南子が風呂場に姿を消す。

// <0507> \{朋也}「あー、疲れた…これから毎日、こんなのになんのかなぁ…」
<0507> \{Tomoya}「あー、疲れた…これから毎日、こんなのになんのかなぁ…」

// <0508> どっと疲れが出て、俺は床に突っ伏す。
<0508> どっと疲れが出て、俺は床に突っ伏す。

// <0509> \{智代}「朋也の人望だな、いろんなひとが寄ってくる」
<0509> \{Tomoyo}「朋也の人望だな、いろんなひとが寄ってくる」

// <0510> 俺とは逆に、智代は嬉しそうだった。
<0510> 俺とは逆に、智代は嬉しそうだった。

// <0511> \{朋也}「いい迷惑だ。ふたりきりになる時間がない」
<0511> \{Tomoya}「いい迷惑だ。ふたりきりになる時間がない」

// <0512> \{智代}「まあ、そうなんだけどな…」
<0512> \{Tomoyo}「まあ、そうなんだけどな…」

// <0513> \{とも}「……？」
<0513> \{Tomo}「……？」

// <0514> ともが意図を計りかねてあいまいに小首を捻る。
<0514> ともが意図を計りかねてあいまいに小首を捻る。

// <0515> \{朋也}「よくもまあ、あんなふたりが付き合ってたもんだな」
<0515> \{Tomoya}「よくもまあ、あんなふたりが付き合ってたもんだな」

// <0516> 俺がそう言うと、智代はへぇと意外そうな声をあげた。
<0516> 俺がそう言うと、智代はへぇと意外そうな声をあげた。

// <0517> \{朋也}「知らなかったのか…？」
<0517> \{Tomoya}「知らなかったのか…？」

// <0518> \{智代}「うん…鷹文は案外、自分のことを話したがらない」
<0518> \{Tomoyo}「うん…鷹文は案外、自分のことを話したがらない」

// <0519> \{智代}「仲がよかったのを憶えてるだけだ」
<0519> \{Tomoyo}「仲がよかったのを憶えてるだけだ」

// <0520> 寂しそうに呟く。
<0520> 寂しそうに呟く。

// <0521> \{智代}「じゃあ、今は別れてるんだな」
<0521> \{Tomoyo}「じゃあ、今は別れてるんだな」

// <0522> \{朋也}「ああ」
<0522> \{Tomoya}「ああ」

// <0523> \{智代}「どうしてだろうな、あんなに可愛い子なのに」
<0523> \{Tomoyo}「どうしてだろうな、あんなに可愛い子なのに」

// <0524> あいつを可愛いと形容できる、智代の寛大さに感服してしまう。
<0524> あいつを可愛いと形容できる、智代の寛大さに感服してしまう。

// <0525> 俺はため息しかでてこない。
<0525> 俺はため息しかでてこない。

// <0526> 突然風呂場のドアが開いて、異様な頭がにょきっと現れて驚く。
<0526> 突然風呂場のドアが開いて、異様な頭がにょきっと現れて驚く。

// <0527> \{河南子}「みてみて、ともー、アトムー」
<0527> \{Kanako}「みてみて、ともー、アトムー」

// <0528> \{とも}「あはは、かなりおもしろいよー」
<0528> \{Tomo}「あはは、かなりおもしろいよー」

// <0529> \{朋也}「おまえ、ぼたぼた落ちてるから！」
<0529> \{Tomoya}「おまえ、ぼたぼた落ちてるから！」

// <0530> シャンプーの泡で固めた河南子の頭が消える。
<0530> シャンプーの泡で固めた河南子の頭が消える。

// <0531> \{朋也}「あー…これから毎日、こんなのになんのかなぁ…」
<0531> \{Tomoya}「あー…これから毎日、こんなのになんのかなぁ…」

// <0532> いくらぼやいても、ぼやき足りないということはなさそうだった。
<0532> いくらぼやいても、ぼやき足りないということはなさそうだった。

Script Chart

	June	July		August					After	Other
1st		SEEN0701		SEEN0801					SEEN5000	SEEN7910
2nd		SEEN0702							SEEN5001	SEEN7920
3rd				SEEN0803					SEEN5002	SEEN7930
4th				SEEN0804					SEEN5003	SEEN7940
6th				SEEN0806	BAD END				SEEN5004	SEEN7950
					SEEN1806				SEEN5005
7th		SEEN0707		SEEN0807					SEEN5006
8th		SEEN0708		SEEN0808					SEEN5007
9th		SEEN0709		SEEN0809					SEEN5010
10th		SEEN0710	SEEN1710	SEEN0810					SEEN5011
11th		SEEN0711		SEEN0811	SEEN1811	SEEN2811
12th		SEEN0712		SEEN0812
13th		SEEN0713		SEEN0813	SEEN1813	SEEN2813
14th		SEEN0714	SEEN1714	SEEN0814	BAD END	BAD END	BAD END	BAD END
					SEEN1814	SEEN2814	SEEN3814	SEEN4814
15th		SEEN0715	SEEN1715	SEEN0815
16th		SEEN0716	SEEN1716	SEEN0816
17th		SEEN0717		SEEN0817
18th				SEEN0818
19th				SEEN0819
20th		BAD END		SEEN0820
		SEEN0720
21st		SEEN0721		SEEN0821
22nd		SEEN0722		SEEN0822
23rd		SEEN0723		SEEN0823
24th		SEEN0724
25th		SEEN0725
26th		SEEN0726
27th		SEEN0727
28th	SEEN0628	SEEN0728
29th	SEEN0629	SEEN0729
30th	SEEN0630
		BAD END
		SEEN0744