Tomoyo After:SEEN0628

From Baka-Tsuki
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// Resources for SEEN0628.TXT

// #character '朋也'
#character 'Tomoya'

// #character '智代'
#character 'Tomoyo'

// #character '声'
#character 'Voice'

// #character '鷹文'
#character 'Takafumi'


// <0000> 6月28日(月)
<0000> June 28th (Mon)

// <0001> \{朋也}「やっと、ひとりで回らせてもらえるようになったよ」
<0001> \{Tomoya}「やっと、ひとりで回らせてもらえるようになったよ」

// <0002> \{朋也}「ある意味、ひとり立ちかな」
<0002> \{Tomoya}「ある意味、ひとり立ちかな」

// <0003> 俺は子供のように、自慢してしまっていた。
<0003> 俺は子供のように、自慢してしまっていた。

// <0004> \{智代}「じゃあ、今日はひとり立ち祝いか」
<0004> \{Tomoyo}「じゃあ、今日はひとり立ち祝いか」

// <0005> \{朋也}「そんな大げさなものじゃないよ」
<0005> \{Tomoya}「そんな大げさなものじゃないよ」

// <0006> \{智代}「いいじゃないか。記念となる日を増やしていこう」
<0006> \{Tomoyo}「いいじゃないか。記念となる日を増やしていこう」

// <0007> \{智代}「それはぜんぶ私たちがふたりで過ごしてきた記念だ」
<0007> \{Tomoyo}「それはぜんぶ私たちがふたりで過ごしてきた記念だ」

// <0008> \{智代}「後でカレンダーのところに、朋也がひとり立ちした日と書いておこう」
<0008> \{Tomoyo}「後でカレンダーのところに、朋也がひとり立ちした日と書いておこう」

// <0009> 俺の意見はお構いなしに話を進めて、そしてひとりで笑っている。
<0009> 俺の意見はお構いなしに話を進めて、そしてひとりで笑っている。

// <0010> それは実に女の子らしい姿だった。
<0010> それは実に女の子らしい姿だった。

// <0011> \{朋也}「でも祝うにも、何もない」
<0011> \{Tomoya}「でも祝うにも、何もない」

// <0012> \{智代}「私の手料理があるじゃないか」
<0012> \{Tomoyo}「私の手料理があるじゃないか」

// <0013> テーブルに並べられた皿を手でなぞる。
<0013> テーブルに並べられた皿を手でなぞる。

// <0014> \{朋也}「いつもある」
<0014> \{Tomoya}「いつもある」

// <0015> \{智代}「うん、いつもあるな」
<0015> \{Tomoyo}「うん、いつもあるな」

// <0016> \{智代}「でも、夕飯は週末だけだ」
<0016> \{Tomoyo}「でも、夕飯は週末だけだ」

// <0017> 日曜から木曜の平日は、智代は実家で家族と食べている。こうして食卓を挟めるのは週末だけだった。
<0017> 日曜から木曜の平日は、智代は実家で家族と食べている。こうして食卓を挟めるのは週末だけだった。

// <0018> \{智代}「それでは不満か?」
<0018> \{Tomoyo}「それでは不満か?」

// <0019> \{朋也}「いや…」
<0019> \{Tomoya}「いや…」

// <0020> \{朋也}「贅沢すぎるよ」
<0020> \{Tomoya}「贅沢すぎるよ」

// <0021> 朝には、お弁当も渡してくれる。
<0021> 朝には、お弁当も渡してくれる。

// <0022> \{智代}「だろう。ここまで尽くす彼女はそうそういないぞ。誇りに思え」
<0022> \{Tomoyo}「だろう。ここまで尽くす彼女はそうそういないぞ。誇りに思え」

// <0023> \{智代}「しかもまだ学生だ。学業と平行させてだ」
<0023> \{Tomoyo}「しかもまだ学生だ。学業と平行させてだ」

// <0024> \{智代}「それでも成績は落とさない。これはなかなかできることじゃないぞ」
<0024> \{Tomoyo}「それでも成績は落とさない。これはなかなかできることじゃないぞ」

// <0025> \{智代}「自分で言っておいてなんだがな」
<0025> \{Tomoyo}「自分で言っておいてなんだがな」

// <0026> それは俺もすごいと思っていた。
<0026> それは俺もすごいと思っていた。

// <0027> そしてそれは智代の意地だと思った。
<0027> そしてそれは智代の意地だと思った。

// <0028> もう二度と過ちを繰り返さない。
<0028> もう二度と過ちを繰り返さない。

// <0029> 自制心を持って。
<0029> 自制心を持って。

// <0030> \{智代}「では、冷めないうちに頂こう」
<0030> \{Tomoyo}「では、冷めないうちに頂こう」

// <0031> \{智代}「おめでとう、というのもヘンだからな」
<0031> \{Tomoyo}「おめでとう、というのもヘンだからな」

// <0032> \{智代}「これからも頑張ってくれ。きついだろうけどな」
<0032> \{Tomoyo}「これからも頑張ってくれ。きついだろうけどな」

// <0033> \{朋也}「そうでもない。おまえがいてくれたら」
<0033> \{Tomoya}「そうでもない。おまえがいてくれたら」

// <0034> \{智代}「そうか。うん、そう言ってもらえるとうれしい」
<0034> \{Tomoyo}「そうか。うん、そう言ってもらえるとうれしい」

// <0035> \{智代}「私も朋也がいてくれたらなんだって平気だ」
<0035> \{Tomoyo}「私も朋也がいてくれたらなんだって平気だ」

// <0036> そんなふうにお互いの思いを口にして確かめる。いつもならそのまま、その口でお互いの口を塞ぎ合うのだが…
<0036> そんなふうにお互いの思いを口にして確かめる。いつもならそのまま、その口でお互いの口を塞ぎ合うのだが…

// <0037> 智代もそれがもどかしいのか、目を伏せて、ふたりの間に立ちふさがるテーブルを見ていた。
<0037> 智代もそれがもどかしいのか、目を伏せて、ふたりの間に立ちふさがるテーブルを見ていた。

// <0038> 代わりに俺はお茶の入ったグラスを持ち上げる。
<0038> 代わりに俺はお茶の入ったグラスを持ち上げる。

// <0039> \{朋也}「乾杯しよう」
<0039> \{Tomoya}「乾杯しよう」

// <0040> \{智代}「うん…」
<0040> \{Tomoyo}「うん…」

// <0041> \{朋也}「乾杯」
<0041> \{Tomoya}「乾杯」

// <0042> 言って、ふたつのグラスを合わせた。
<0042> 言って、ふたつのグラスを合わせた。

// <0043> そして、日々うまくなっていく、智代の手料理を食べた。
<0043> そして、日々うまくなっていく、智代の手料理を食べた。

// <0044> ふたりで洗い物をして、ふたりでテレビを見る。
<0044> ふたりで洗い物をして、ふたりでテレビを見る。

// <0045> ブラウン管には、野球中継が映し出されていた。
<0045> ブラウン管には、野球中継が映し出されていた。

// <0046> \{智代}「朋也は野球が好きなんだな」
<0046> \{Tomoyo}「朋也は野球が好きなんだな」

// <0047> \{朋也}「スポーツなら大体は好きだよ」
<0047> \{Tomoya}「スポーツなら大体は好きだよ」

// <0048> \{智代}「そうか…朋也はスポーツ少年だったんだな」
<0048> \{Tomoyo}「そうか…朋也はスポーツ少年だったんだな」

// <0049> \{朋也}「それ以外取り柄なんてなかったからな」
<0049> \{Tomoya}「それ以外取り柄なんてなかったからな」

// <0050> \{智代}「………」
<0050> \{Tomoyo}「………」

// <0051> \{朋也}「今じゃ、それもしてなくて、取り柄もないけどさ」
<0051> \{Tomoya}「今じゃ、それもしてなくて、取り柄もないけどさ」

// <0052> \{智代}「そんなこと言うな」
<0052> \{Tomoyo}「そんなこと言うな」

// <0053> \{智代}「取り柄がないことなんてない」
<0053> \{Tomoyo}「取り柄がないことなんてない」

// <0054> \{智代}「おまえは私を幸せにできる」
<0054> \{Tomoyo}「おまえは私を幸せにできる」

// <0055> \{智代}「それが取り柄だ」
<0055> \{Tomoyo}「それが取り柄だ」

// <0056> ふたりを隔てるものは今はもう何もない。
<0056> ふたりを隔てるものは今はもう何もない。

// <0057> 体を傾けて、キスをした。
<0057> 体を傾けて、キスをした。

// <0058> しばらくしてから離して、顎を引いて口を開けさせる。
<0058> しばらくしてから離して、顎を引いて口を開けさせる。

// <0059> \{智代}「ちょっと待て…」
<0059> \{Tomoyo}「ちょっと待て…」

// <0060> 智代は身を引いて、そして両手で自分の口を覆った。
<0060> 智代は身を引いて、そして両手で自分の口を覆った。

// <0061> また息の匂いを確かめているようだ。
<0061> また息の匂いを確かめているようだ。

// <0062> \{朋也}「おまえは気にしすぎだ」
<0062> \{Tomoya}「おまえは気にしすぎだ」

// <0063> 俺はそのまま智代の体に覆い被さり、押し倒す。
<0063> 俺はそのまま智代の体に覆い被さり、押し倒す。

// <0064> \{智代}「デリカシーがない女は嫌なんだ」
<0064> \{Tomoyo}「デリカシーがない女は嫌なんだ」

// <0065> 仰向けのまま俺を睨む。
<0065> 仰向けのまま俺を睨む。

// <0066> \{智代}「それにおまえは…リップクリームとか…口臭剤のたぐいを使うのを嫌うからな…」
<0066> \{Tomoyo}「それにおまえは…リップクリームとか…口臭剤のたぐいを使うのを嫌うからな…」

// <0067> \{朋也}「無理にとは言わない。でも俺は、そのままのおまえがいいんだ」
<0067> \{Tomoya}「無理にとは言わない。でも俺は、そのままのおまえがいいんだ」

// <0068> 智代の腕をつかむ。そして口を寄せていく。
<0068> 智代の腕をつかむ。そして口を寄せていく。

// <0069> \{智代}「ああ…わかってる…だから使わない…」
<0069> \{Tomoyo}「ああ…わかってる…だから使わない…」

// <0070> 距離を縮めていく。智代が喋るたび、息がかかる。それさえ愛おしい。
<0070> 距離を縮めていく。智代が喋るたび、息がかかる。それさえ愛おしい。

// <0071> \{智代}「けど、私も女の子なんだ。気は遣わせてく…」
<0071> \{Tomoyo}「けど、私も女の子なんだ。気は遣わせてく…」

// <0072> その口を閉ざす。
<0072> その口を閉ざす。

// <0073> 舌を差し出す。歯に触れたところで、智代はそれを開いて中に通してくれる。
<0073> 舌を差し出す。歯に触れたところで、智代はそれを開いて中に通してくれる。

// <0074> その先で熱く濡れた舌が待っていてくれた。
<0074> その先で熱く濡れた舌が待っていてくれた。

// <0075> その舌の腹のあたりに自分の舌を擦りつける。執拗にその部分を味わう。
<0075> その舌の腹のあたりに自分の舌を擦りつける。執拗にその部分を味わう。

// <0076> 智代の唾液に濡れた粘膜を。
<0076> 智代の唾液に濡れた粘膜を。

// <0077> 智代の唇が、俺の舌を挟む。
<0077> 智代の唇が、俺の舌を挟む。

// <0078> そして、智代はそれを吸い出した。
<0078> そして、智代はそれを吸い出した。

// <0079> 俺の舌を味わうようにちゅうちゅうと何度も吸う。
<0079> 俺の舌を味わうようにちゅうちゅうと何度も吸う。

// <0080> 時に飲み込もうとするように強く吸う。
<0080> 時に飲み込もうとするように強く吸う。

// <0081> 舌の付け根が引っ張られて、痛いぐらいに。
<0081> 舌の付け根が引っ張られて、痛いぐらいに。

// <0082> \{智代}「んっ」
<0082> \{Tomoyo}「んっ」

// <0083> 最後に大きく吸う。じゅぱっと大きな音がして、俺の舌が解放される。
<0083> 最後に大きく吸う。じゅぱっと大きな音がして、俺の舌が解放される。

// <0084> \{智代}「はぁ…」
<0084> \{Tomoyo}「はぁ…」

// <0085> ため息ひとつ。
<0085> ため息ひとつ。

// <0086> けど休憩は一瞬。すぐまた、くわえられて、吸われていた。
<0086> けど休憩は一瞬。すぐまた、くわえられて、吸われていた。

// <0087> ちゅぅ…ちゅくっ…ちゅっく…
<0087> ちゅぅ…ちゅくっ…ちゅっく…

// <0088> 智代は夢中で俺の舌を吸う。
<0088> 智代は夢中で俺の舌を吸う。

// <0089> そうされていると、智代が俺のことを欲していることが感じられて、すごく興奮する。
<0089> そうされていると、智代が俺のことを欲していることが感じられて、すごく興奮する。

// <0090> そのまま下半身の興奮した部位を智代の太ももにこすりつける。
<0090> そのまま下半身の興奮した部位を智代の太ももにこすりつける。

// <0091> ちゅぅ…じゅぷっ…
<0091> ちゅぅ…じゅぷっ…

// <0092> 今、すごく強く舌を吸われた。
<0092> 今、すごく強く舌を吸われた。

// <0093> 一緒にあそこを擦りつけているから、それだけでいってしまいそうだ。
<0093> 一緒にあそこを擦りつけているから、それだけでいってしまいそうだ。

// <0094> ちゅぅ…じゅぷ…じゅぷ…
<0094> ちゅぅ…じゅぷ…じゅぷ…

// <0095> じゅぱっ!
<0095> じゅぱっ!

// <0096> また解放される。今度は俺は舌を戻した。
<0096> また解放される。今度は俺は舌を戻した。

// <0097> 智代はまだ欲しそうに口を小さく開けていた。
<0097> 智代はまだ欲しそうに口を小さく開けていた。

// <0098> 唇は唾液に濡れ、つややかに光っている。
<0098> 唇は唾液に濡れ、つややかに光っている。

// <0099> とてもいやらしい唇だ。
<0099> とてもいやらしい唇だ。

// <0100> そこに舌を差し入れれば、また吸ってくれる。
<0100> そこに舌を差し入れれば、また吸ってくれる。

// <0101> いつまでも吸い続けてくれるだろう。
<0101> いつまでも吸い続けてくれるだろう。

// <0102> でもずっと舌を出しているのは辛い。舌の付け根も引っ張られすぎて痛いし、顎もだるい。
<0102> でもずっと舌を出しているのは辛い。舌の付け根も引っ張られすぎて痛いし、顎もだるい。

// <0103> \{朋也}「今度は俺が吸う番」
<0103> \{Tomoya}「今度は俺が吸う番」

// <0104> だから俺はそう言った。
<0104> だから俺はそう言った。

// <0105> \{朋也}「智代のが吸いたい」
<0105> \{Tomoya}「智代のが吸いたい」

// <0106> \{智代}「………」
<0106> \{Tomoyo}「………」

// <0107> 熱っぽい顔。
<0107> 熱っぽい顔。

// <0108> \{智代}「うん…」
<0108> \{Tomoyo}「うん…」

// <0109> 濡れた舌が唇の隙間から現れる。
<0109> 濡れた舌が唇の隙間から現れる。

// <0110> 智代の舌は可愛い。
<0110> 智代の舌は可愛い。

// <0111> 唾液にぬめり、いやらしく光っていた。
<0111> 唾液にぬめり、いやらしく光っていた。

// <0112> 口全部を覆うようにキスをして、その中心にある舌を吸う。
<0112> 口全部を覆うようにキスをして、その中心にある舌を吸う。

// <0113> じゅじゅっ…
<0113> じゅじゅっ…

// <0114> 智代の唾を吸って、味わう。
<0114> 智代の唾を吸って、味わう。

// <0115> 智代の唾液は甘美な味がした。
<0115> 智代の唾液は甘美な味がした。

// <0116> 本当に人より甘いのかもしれない。俺のはこんなに美味しくない。
<0116> 本当に人より甘いのかもしれない。俺のはこんなに美味しくない。

// <0117> 智代の舌を吸い続ける。
<0117> 智代の舌を吸い続ける。

// <0118> 時に強く吸う。
<0118> 時に強く吸う。

// <0119> \{智代}「んっ…」
<0119> \{Tomoyo}「んっ…」

// <0120> 鼻から熱い息が漏れて、俺の頬にかかる。
<0120> 鼻から熱い息が漏れて、俺の頬にかかる。

// <0121> 智代も強く吸われると、すごく感じることを知っている。
<0121> 智代も強く吸われると、すごく感じることを知っている。

// <0122> しばらく、強く吸い続ける。
<0122> しばらく、強く吸い続ける。

// <0123> \{智代}「んっ…んっ…」
<0123> \{Tomoyo}「んっ…んっ…」

// <0124> 智代の興奮がやまない。
<0124> 智代の興奮がやまない。

// <0125> 智代の両太股が俺の片足を挟む。
<0125> 智代の両太股が俺の片足を挟む。

// <0126> その足に自分の感じる場所を物欲しげに擦りつけてくる。
<0126> その足に自分の感じる場所を物欲しげに擦りつけてくる。

// <0127> 俺とまったく同じことをする。
<0127> 俺とまったく同じことをする。

// <0128> 舌を強く吸いながら、あそこを擦りつけ合うのが好きなふたり。
<0128> 舌を強く吸いながら、あそこを擦りつけ合うのが好きなふたり。

// <0129> \{智代}「んっ…んんーっ」
<0129> \{Tomoyo}「んっ…んんーっ」

// <0130> そのままいってしまうんじゃないかというぐらいに、智代は興奮している。
<0130> そのままいってしまうんじゃないかというぐらいに、智代は興奮している。

// <0131> ちゅばっ!
<0131> ちゅばっ!

// <0132> 舌を解放した。
<0132> 舌を解放した。

// <0133> \{智代}「はぁ…はぁ…」
<0133> \{Tomoyo}「はぁ…はぁ…」

// <0134> 智代の熱い息が俺の鼻先にかかる。
<0134> 智代の熱い息が俺の鼻先にかかる。

// <0135> 挟まれていた足も解放されていた。
<0135> 挟まれていた足も解放されていた。

// <0136> 今度は…
<0136> 今度は…

// <0137> 普通にキスをする
<0137> 普通にキスをする

// <0138> 息にこだわる
<0138> 息にこだわる

// <0139> 唾液にこだわる
<0139> 唾液にこだわる

// <0140> 顔を近づけて、唇を合わせる。
<0140> 顔を近づけて、唇を合わせる。

// <0141> それだけのキスのつもりで。
<0141> それだけのキスのつもりで。

// <0142> けど、俺の唇を割って、熱い舌が入り込んでくる。
<0142> けど、俺の唇を割って、熱い舌が入り込んでくる。

// <0143> 歯を閉じてしまっていたので、それで進入を阻んでしまう。
<0143> 歯を閉じてしまっていたので、それで進入を阻んでしまう。

// <0144> 智代はすぐ舌を引っ込めて、俺を突き放した。
<0144> 智代はすぐ舌を引っ込めて、俺を突き放した。

// <0145> \{智代}「………」
<0145> \{Tomoyo}「………」

// <0146> 顔を横に向けて、火照った顔をさらに赤らめている。
<0146> 顔を横に向けて、火照った顔をさらに赤らめている。

// <0147> \{智代}「うう…」
<0147> \{Tomoyo}「うう…」

// <0148> 目を閉じて、うめく。
<0148> 目を閉じて、うめく。

// <0149> \{智代}「おまえの変態が移ってしまったんだ…」
<0149> \{Tomoyo}「おまえの変態が移ってしまったんだ…」

// <0150> 普通のキスだと気づかず、舌を自分から入れてしまったことを恥じている様子だ。
<0150> 普通のキスだと気づかず、舌を自分から入れてしまったことを恥じている様子だ。

// <0151> \{智代}「もう飽きただろ、どいてくれ…」
<0151> \{Tomoyo}「もう飽きただろ、どいてくれ…」

// <0152> \{朋也}「飽きてなかったらどかなくていいんだな」
<0152> \{Tomoya}「飽きてなかったらどかなくていいんだな」

// <0153> 智代の頬に手を添えて、こっちを向かせる。目は横を向いたままだ。
<0153> 智代の頬に手を添えて、こっちを向かせる。目は横を向いたままだ。

// <0154> \{智代}「どいてくれ…」
<0154> \{Tomoyo}「どいてくれ…」

// <0155> その口を塞ぐ。
<0155> その口を塞ぐ。

// <0156> 今度は俺から舌を差し入れる。歯をこじ開け、その奥へ。
<0156> 今度は俺から舌を差し入れる。歯をこじ開け、その奥へ。

// <0157> 夢中で智代の唇と舌をむさぼった。
<0157> 夢中で智代の唇と舌をむさぼった。

// <0158> そのうち、智代も積極的に舌を動かしはじめ、激しく絡み合い出す。
<0158> そのうち、智代も積極的に舌を動かしはじめ、激しく絡み合い出す。

// <0159> 顎がだるくなり、ようやく、口を離す。
<0159> 顎がだるくなり、ようやく、口を離す。

// <0160> つーと、糸が伸びて、それが切れて、智代の顎に伝う。
<0160> つーと、糸が伸びて、それが切れて、智代の顎に伝う。

// <0161> それを指でぬぐってやる。
<0161> それを指でぬぐってやる。

// <0162> \{朋也}「あのさ…」
<0162> \{Tomoya}「あのさ…」

// <0163> \{智代}「なんだ…」
<0163> \{Tomoyo}「なんだ…」

// <0164> \{朋也}「お願いがある」
<0164> \{Tomoya}「お願いがある」

// <0165> \{智代}「言うな…」
<0165> \{Tomoyo}「言うな…」

// <0166> \{朋也}「いや、言う…」
<0166> \{Tomoya}「いや、言う…」

// <0167> \{智代}「きっと、おまえのことだ…変態なことに違いない…」
<0167> \{Tomoyo}「きっと、おまえのことだ…変態なことに違いない…」

// <0168> \{朋也}「だな…」
<0168> \{Tomoya}「だな…」

// <0169> \{智代}「もうこれ以上私を変態の仲間にしないでくれ…」
<0169> \{Tomoyo}「もうこれ以上私を変態の仲間にしないでくれ…」

// <0170> \{朋也}「いや、でもどうしてなんだろう…」
<0170> \{Tomoya}「いや、でもどうしてなんだろう…」

// <0171> \{朋也}「他の奴では吐き気がするほど嫌悪すべきことが…」
<0171> \{Tomoya}「他の奴では吐き気がするほど嫌悪すべきことが…」

// <0172> \{朋也}「おまえだとすごく愛おしく感じる…」
<0172> \{Tomoya}「おまえだとすごく愛おしく感じる…」

// <0173> \{智代}「そんな変態なことをさせようというのか…」
<0173> \{Tomoyo}「そんな変態なことをさせようというのか…」

// <0174> \{朋也}「ああ…」
<0174> \{Tomoya}「ああ…」

// <0175> \{朋也}「だから、頼む…」
<0175> \{Tomoya}「だから、頼む…」

// <0176> \{智代}「言うな…」
<0176> \{Tomoyo}「言うな…」

// <0177> \{朋也}「はぁーってして…」
<0177> \{Tomoya}「はぁーってして…」

// <0178> \{智代}「なんのために…」
<0178> \{Tomoyo}「なんのために…」

// <0179> \{朋也}「匂いかぎたいんだ…」
<0179> \{Tomoya}「匂いかぎたいんだ…」

// <0180> 信じられないというような目で見られる。
<0180> 信じられないというような目で見られる。

// <0181> \{智代}「変態だ…ここに変態がいる…」
<0181> \{Tomoyo}「変態だ…ここに変態がいる…」

// <0182> \{朋也}「おまえの彼氏だ」
<0182> \{Tomoya}「おまえの彼氏だ」

// <0183> \{智代}「変態の彼氏だ…」
<0183> \{Tomoyo}「変態の彼氏だ…」

// <0184> \{朋也}「その彼氏からのお願い…」
<0184> \{Tomoya}「その彼氏からのお願い…」

// <0185> \{智代}「………」
<0185> \{Tomoyo}「………」

// <0186> \{朋也}「お願い…」
<0186> \{Tomoya}「お願い…」

// <0187> \{朋也}「ほら、はーってして」
<0187> \{Tomoya}「ほら、はーってして」

// <0188> \{智代}「………」
<0188> \{Tomoyo}「………」

// <0189> 智代は目を潤ませて、口を開く。
<0189> 智代は目を潤ませて、口を開く。

// <0190> はぁーっ、と息を俺の鼻先に吐きかけた。
<0190> はぁーっ、と息を俺の鼻先に吐きかけた。

// <0191> その甘さに酔う。
<0191> その甘さに酔う。

// <0192> それは人の息の匂いだ。
<0192> それは人の息の匂いだ。

// <0193> なんでそんなものを俺はかいでるんだ?
<0193> なんでそんなものを俺はかいでるんだ?

// <0194> 好きな女の子のだからだ。
<0194> 好きな女の子のだからだ。

// <0195> 好きな女の子のだから、かぎたい。
<0195> 好きな女の子のだから、かぎたい。

// <0196> 俺は顔を寄せて、舌を出す。
<0196> 俺は顔を寄せて、舌を出す。

// <0197> 智代の口の中に忍ばせて、舌を誘い出す。
<0197> 智代の口の中に忍ばせて、舌を誘い出す。

// <0198> 互いの舌が口と口の隙間で絡み合う。
<0198> 互いの舌が口と口の隙間で絡み合う。

// <0199> れろれろ…
<0199> れろれろ…

// <0200> この舌もそうだ。好きな女の子の舌だからだ。
<0200> この舌もそうだ。好きな女の子の舌だからだ。

// <0201> 好きな女の子の舌だから、味わいたい。
<0201> 好きな女の子の舌だから、味わいたい。

// <0202> そうして舌だけをすり合わせたまま、はぁーっ、とガラスを曇らせるような熱い息が。
<0202> そうして舌だけをすり合わせたまま、はぁーっ、とガラスを曇らせるような熱い息が。

// <0203> 匂いと味、両方で智代を感じる。
<0203> 匂いと味、両方で智代を感じる。

// <0204> それは片方だけよりも、強く、智代を感じられた。
<0204> それは片方だけよりも、強く、智代を感じられた。

// <0205> なんの飾りもない智代を。
<0205> なんの飾りもない智代を。

// <0206> 卑しいまでに。
<0206> 卑しいまでに。

// <0207> \{朋也}「あのさ…」
<0207> \{Tomoya}「あのさ…」

// <0208> \{智代}「なんだ…」
<0208> \{Tomoyo}「なんだ…」

// <0209> \{朋也}「お願いがある」
<0209> \{Tomoya}「お願いがある」

// <0210> \{智代}「言うな…」
<0210> \{Tomoyo}「言うな…」

// <0211> \{朋也}「いや、言う…」
<0211> \{Tomoya}「いや、言う…」

// <0212> \{智代}「きっと、おまえのことだ…変態なことに違いない…」
<0212> \{Tomoyo}「きっと、おまえのことだ…変態なことに違いない…」

// <0213> \{朋也}「だな…」
<0213> \{Tomoya}「だな…」

// <0214> \{智代}「もうこれ以上私を変態の仲間にしないでくれ…」
<0214> \{Tomoyo}「もうこれ以上私を変態の仲間にしないでくれ…」

// <0215> \{朋也}「いや、でもどうしてなんだろう…」
<0215> \{Tomoya}「いや、でもどうしてなんだろう…」

// <0216> \{朋也}「他の奴では吐き気がするほど嫌悪すべきことが…」
<0216> \{Tomoya}「他の奴では吐き気がするほど嫌悪すべきことが…」

// <0217> \{朋也}「おまえだとすごく愛おしく感じる…」
<0217> \{Tomoya}「おまえだとすごく愛おしく感じる…」

// <0218> \{智代}「そんな変態なことをさせようというのか…」
<0218> \{Tomoyo}「そんな変態なことをさせようというのか…」

// <0219> \{朋也}「ああ…」
<0219> \{Tomoya}「ああ…」

// <0220> \{朋也}「だから、頼む…」
<0220> \{Tomoya}「だから、頼む…」

// <0221> \{智代}「言うな…」
<0221> \{Tomoyo}「言うな…」

// <0222> \{朋也}「おまえの唾を飲んでみたい…」
<0222> \{Tomoya}「おまえの唾を飲んでみたい…」

// <0223> 信じられないというような目で見られる。
<0223> 信じられないというような目で見られる。

// <0224> \{朋也}「なんかおいしそうだから…」
<0224> \{Tomoya}「なんかおいしそうだから…」

// <0225> \{智代}「変態だ…ここに変態がいる…」
<0225> \{Tomoyo}「変態だ…ここに変態がいる…」

// <0226> \{朋也}「おまえの彼氏だ」
<0226> \{Tomoya}「おまえの彼氏だ」

// <0227> \{智代}「変態の彼氏だ…」
<0227> \{Tomoyo}「変態の彼氏だ…」

// <0228> \{朋也}「その彼氏からのお願い…」
<0228> \{Tomoya}「その彼氏からのお願い…」

// <0229> \{智代}「………」
<0229> \{Tomoyo}「………」

// <0230> \{朋也}「お願い…」
<0230> \{Tomoya}「お願い…」

// <0231> \{智代}「………」
<0231> \{Tomoyo}「………」

// <0232> \{朋也}「ほら、口の中に溜めて」
<0232> \{Tomoya}「ほら、口の中に溜めて」

// <0233> \{智代}「………」
<0233> \{Tomoyo}「………」

// <0234> 智代は潤んだ目を閉じる。
<0234> 智代は潤んだ目を閉じる。

// <0235> ………。
<0235> ………。

// <0236> しばらくして瞼を開ける。
<0236> しばらくして瞼を開ける。

// <0237> 溜まった、とその目が告げていた。
<0237> 溜まった、とその目が告げていた。

// <0238> \{朋也}「もっと」
<0238> \{Tomoya}「もっと」

// <0239> 一瞬頬のあたりが引きつったが、また目を閉じてくれる。
<0239> 一瞬頬のあたりが引きつったが、また目を閉じてくれる。

// <0240> ………。
<0240> ………。

// <0241> ……。
<0241> ……。

// <0242> ………。
<0242> ………。

// <0243> 目を開く。
<0243> 目を開く。

// <0244> \{朋也}「じゃ、おまえが上に」
<0244> \{Tomoya}「じゃ、おまえが上に」

// <0245> 体勢を入れ替える。
<0245> 体勢を入れ替える。

// <0246> 智代が手をついて、仰向けになった俺を見下ろす。
<0246> 智代が手をついて、仰向けになった俺を見下ろす。

// <0247> ゆっくりと近づいてくる恥じらいの色に染まった頬。
<0247> ゆっくりと近づいてくる恥じらいの色に染まった頬。

// <0248> 唇が合わさる。
<0248> 唇が合わさる。

// <0249> 薄く開く。
<0249> 薄く開く。

// <0250> どろりと熱い液体が俺の口内に流れ込んでくる。
<0250> どろりと熱い液体が俺の口内に流れ込んでくる。

// <0251> それは人の唾液だ。
<0251> それは人の唾液だ。

// <0252> なんでそんなものを俺は飲んでいるんだ?
<0252> なんでそんなものを俺は飲んでいるんだ?

// <0253> 好きな女の子のだからだ。
<0253> 好きな女の子のだからだ。

// <0254> 好きな女の子のだから、味わいたい。
<0254> 好きな女の子のだから、味わいたい。

// <0255> 結構な量…
<0255> 結構な量…

// <0256> 他人の唾で自分の口が満たされる状況なんてかつてない。
<0256> 他人の唾で自分の口が満たされる状況なんてかつてない。

// <0257> 他人の温度を持った粘性のある液体。
<0257> 他人の温度を持った粘性のある液体。

// <0258> 他人の温度のまま、俺はそれを一気に飲み干した。
<0258> 他人の温度のまま、俺はそれを一気に飲み干した。

// <0259> ごくん、喉が鳴る。
<0259> ごくん、喉が鳴る。

// <0260> \{朋也}「はぁ…」
<0260> \{Tomoya}「はぁ…」

// <0261> 口を離し、息をつく。
<0261> 口を離し、息をつく。

// <0262> きっと今の息の匂いは、智代の息の匂いと同じだ。
<0262> きっと今の息の匂いは、智代の息の匂いと同じだ。

// <0263> 智代は涙ぐんだ目で俺の顔をじっと見ていた。
<0263> 智代は涙ぐんだ目で俺の顔をじっと見ていた。

// <0264> \{智代}「………」
<0264> \{Tomoyo}「………」

// <0265> \{朋也}「おいしかった」
<0265> \{Tomoya}「おいしかった」

// <0266> \{智代}「変態…」
<0266> \{Tomoyo}「変態…」

// <0267> すねたようにそっぽを向いた。
<0267> すねたようにそっぽを向いた。

// <0268> その仕草が可愛くて仕方がない。
<0268> その仕草が可愛くて仕方がない。

// <0269> こういう時の智代はどんな女の子よりも女の子らしい。
<0269> こういう時の智代はどんな女の子よりも女の子らしい。

// <0270> 本当に俺の彼女でよかった。
<0270> 本当に俺の彼女でよかった。

// <0271> そう思う。
<0271> そう思う。

// <0272> 再びキスをしようと、智代の首筋に手を這わせる。
<0272> 再びキスをしようと、智代の首筋に手を這わせる。

// <0273> と…その顔色が変わった。
<0273> と…その顔色が変わった。

// <0274> 何かを視線の先に見つけたようだ。
<0274> 何かを視線の先に見つけたようだ。

// <0275> どんっ!
<0275> どんっ!

// <0276> ものすごい勢いで胸を突かれて、上体を起こされる。
<0276> ものすごい勢いで胸を突かれて、上体を起こされる。

// <0277> そして、智代は俺に背中を向けると、正座をしてうつむく。
<0277> そして、智代は俺に背中を向けると、正座をしてうつむく。

// <0278> \{朋也}「…どうした?」
<0278> \{Tomoya}「…どうした?」

// <0279> \{智代}「………」
<0279> \{Tomoyo}「………」

// <0280> 答えない。
<0280> 答えない。

// <0281> \{声}「ごめんっ!」
<0281> \{Voice}「ごめんっ!」

// <0282> 代わりに戸口のほうから声。
<0282> 代わりに戸口のほうから声。

// <0283> 見ると、台所の窓が少し開かれていて、その向こうに人影。
<0283> 見ると、台所の窓が少し開かれていて、その向こうに人影。

// <0284> それが動いて、戸口が開く。
<0284> それが動いて、戸口が開く。

// <0285> 現れたのは…
<0285> 現れたのは…

// <0286> \{鷹文}「覗いてたんじゃないよ、窓、開いてたんだよ」
<0286> \{Takafumi}「覗いてたんじゃないよ、窓、開いてたんだよ」

// <0287> 智代の弟、鷹文。
<0287> 智代の弟、鷹文。

// <0288> \{鷹文}「あがっていい?」
<0288> \{Takafumi}「あがっていい?」

// <0289> \{朋也}「ん? ああ、どうぞ」
<0289> \{Tomoya}「ん? ああ、どうぞ」

// <0290> 鷹文は靴を脱いであがってくると、テーブルの上に買い物袋を置いた。
<0290> 鷹文は靴を脱いであがってくると、テーブルの上に買い物袋を置いた。

// <0291> \{鷹文}「はい、差し入れ」
<0291> \{Takafumi}「はい、差し入れ」

// <0292> \{朋也}「そういうの気にしなくていいぞ」
<0292> \{Tomoya}「そういうの気にしなくていいぞ」

// <0293> \{鷹文}「手ぶらじゃ悪いからね」
<0293> \{Takafumi}「手ぶらじゃ悪いからね」

// <0294> \{鷹文}「単なるお邪魔虫になるじゃん?」
<0294> \{Takafumi}「単なるお邪魔虫になるじゃん?」

// <0295> \{朋也}「そりゃ、確かに」
<0295> \{Tomoya}「そりゃ、確かに」

// <0296> \{鷹文}「あ、言うねぇ、にぃちゃん」
<0296> \{Takafumi}「あ、言うねぇ、にぃちゃん」

// <0297> \{朋也}「実際邪魔されたんだし」
<0297> \{Tomoya}「実際邪魔されたんだし」

// <0298> \{鷹文}「だからそれはごめんっ、て謝ったじゃん」
<0298> \{Takafumi}「だからそれはごめんっ、て謝ったじゃん」

// <0299> \{鷹文}「座っていい?」
<0299> \{Takafumi}「座っていい?」

// <0300> \{朋也}「どうぞ」
<0300> \{Tomoya}「どうぞ」

// <0301> 俺と智代の間に腰を落ち着ける。
<0301> 俺と智代の間に腰を落ち着ける。

// <0302> 智代は背中を向けたまま沈黙を守っている。
<0302> 智代は背中を向けたまま沈黙を守っている。

// <0303> \{鷹文}「でも、びっくりしたよ」
<0303> \{Takafumi}「でも、びっくりしたよ」

// <0304> \{朋也}「何が?」
<0304> \{Tomoya}「何が?」

// <0305> \{鷹文}「ふたりだとあんなことしてるんだね」
<0305> \{Takafumi}「ふたりだとあんなことしてるんだね」

// <0306> 背中を向けたままの智代が、後ろに座る鷹文の腕をぽかぽかと叩き始める。
<0306> 背中を向けたままの智代が、後ろに座る鷹文の腕をぽかぽかと叩き始める。

// <0307> \{朋也}「いや、まあ、普通だろ」
<0307> \{Tomoya}「いや、まあ、普通だろ」

// <0308> ぽかぽか。
<0308> ぽかぽか。

// <0309> \{鷹文}「うーん…普通なのか…」
<0309> \{Takafumi}「うーん…普通なのか…」

// <0310> ぽかぽか。
<0310> ぽかぽか。

// <0311> \{鷹文}「そんなに…ねぇちゃんのっていい匂いなの?」
<0311> \{Takafumi}「そんなに…ねぇちゃんのっていい匂いなの?」

// <0312> ぽかぽか。
<0312> ぽかぽか。

// <0313> \{智代}「帰れ、おまえなんて帰ってしまえ」
<0313> \{Tomoyo}「帰れ、おまえなんて帰ってしまえ」

// <0314> 叩きながら、恨み言のように呟く。
<0314> 叩きながら、恨み言のように呟く。

// <0315> \{鷹文}「痛いよ、ねぇちゃん」
<0315> \{Takafumi}「痛いよ、ねぇちゃん」

// <0316> \{鷹文}「でも、それをかがせるねぇちゃんも、すごいよね…」
<0316> \{Takafumi}「でも、それをかがせるねぇちゃんも、すごいよね…」

// <0317> \{鷹文}「そんなに…ねぇちゃんのっておいしいの?」
<0317> \{Takafumi}「そんなに…ねぇちゃんのっておいしいの?」

// <0318> ぽかぽか。
<0318> ぽかぽか。

// <0319> \{智代}「帰れ、おまえなんて帰ってしまえ」
<0319> \{Tomoyo}「帰れ、おまえなんて帰ってしまえ」

// <0320> 叩きながら、恨み言のように呟く。
<0320> 叩きながら、恨み言のように呟く。

// <0321> \{鷹文}「痛いよ、ねぇちゃん」
<0321> \{Takafumi}「痛いよ、ねぇちゃん」

// <0322> \{鷹文}「でも、それをあげるねぇちゃんも、すごいよね…」
<0322> \{Takafumi}「でも、それをあげるねぇちゃんも、すごいよね…」

// <0323> \{智代}「帰れ、二度とくるな」
<0323> \{Tomoyo}「帰れ、二度とくるな」

// <0324> ぽかぽか。
<0324> ぽかぽか。

// <0325> \{鷹文}「でもこんな可愛げのあるところを見られるんだから、にぃちゃんはやっぱすごいよ」
<0325> \{Takafumi}「でもこんな可愛げのあるところを見られるんだから、にぃちゃんはやっぱすごいよ」

// <0326> \{鷹文}「うちでは、女の子らしいところなんてみじんも見せないくせにさ」
<0326> \{Takafumi}「うちでは、女の子らしいところなんてみじんも見せないくせにさ」

// <0327> ぽかぽか。
<0327> ぽかぽか。

// <0328> 鷹文の差し入れからせんべいの袋を見つけ、その封を開ける。
<0328> 鷹文の差し入れからせんべいの袋を見つけ、その封を開ける。

// <0329> \{朋也}「おまえにもわかる日がくる」
<0329> \{Tomoya}「おまえにもわかる日がくる」

// <0330> \{朋也}「愛だよ、愛」
<0330> \{Tomoya}「愛だよ、愛」

// <0331> ぱきっ…ぼりぼり。
<0331> ぱきっ…ぼりぼり。

// <0332> せんべいを食べながら、野球中継の続きを見る。
<0332> せんべいを食べながら、野球中継の続きを見る。

// <0333> ぽかぽか。
<0333> ぽかぽか。

// <0334> \{鷹文}「だから痛いって、ねぇちゃん」
<0334> \{Takafumi}「だから痛いって、ねぇちゃん」

// <0335> \{智代}「帰れ、帰れ」
<0335> \{Tomoyo}「帰れ、帰れ」

// <0336> 隣では、延々と鷹文が姉に叩かれていた。
<0336> 隣では、延々と鷹文が姉に叩かれていた。

// <0337> そんな風景の中にいる自分を見て思う。
<0337> そんな風景の中にいる自分を見て思う。

// <0338> まるで、慎ましく暮らす家族の中にいるようだと。
<0338> まるで、慎ましく暮らす家族の中にいるようだと。

// <0339> 高校を卒業し、春から俺は働き始めていた。
<0339> 高校を卒業し、春から俺は働き始めていた。

// <0340> 学校の就職案内で見つけた廃品回収会社。
<0340> 学校の就職案内で見つけた廃品回収会社。

// <0341> 色んな場所で廃品や故障したものを集めて修理する仕事だ。
<0341> 色んな場所で廃品や故障したものを集めて修理する仕事だ。

// <0342> 直しては、リサイクル店や中古業者に売り、生計を立てている。
<0342> 直しては、リサイクル店や中古業者に売り、生計を立てている。

// <0343> 会社は小さく、親方がひとりいるだけ。
<0343> 会社は小さく、親方がひとりいるだけ。

// <0344> 車がなくては話にならない、と免許も取った。
<0344> 車がなくては話にならない、と免許も取った。

// <0345> 軽トラで町中を走り回り、集めてきた廃品を修理する。
<0345> 軽トラで町中を走り回り、集めてきた廃品を修理する。

// <0346> 親方は、基本的には何も教えてくれない。
<0346> 親方は、基本的には何も教えてくれない。

// <0347> ただ、こうやるんだ、と言わんばかりに見せてくれる。
<0347> ただ、こうやるんだ、と言わんばかりに見せてくれる。

// <0348> 俺はそれを見様見真似で試し、覚えていった。
<0348> 俺はそれを見様見真似で試し、覚えていった。

// <0349> 扱うものは、車、バイクから家電製品、パソコンなんかもある。
<0349> 扱うものは、車、バイクから家電製品、パソコンなんかもある。

// <0350> 修理するものもあれば、パーツ取りだけに使うものもあった。
<0350> 修理するものもあれば、パーツ取りだけに使うものもあった。

// <0351> 役割として親方から命じられたのは、家電の修理だった。
<0351> 役割として親方から命じられたのは、家電の修理だった。

// <0352> 回路図の読み方と書き方。
<0352> 回路図の読み方と書き方。

// <0353> 電流の流れとケーブルやラインの種類。
<0353> 電流の流れとケーブルやラインの種類。

// <0354> コンデンサのチェックを行うオシロスコープの使い方。
<0354> コンデンサのチェックを行うオシロスコープの使い方。

// <0355> 半田ごてで基板の断線を修理する方法。
<0355> 半田ごてで基板の断線を修理する方法。

// <0356> 何もかもが初めての経験だ。
<0356> 何もかもが初めての経験だ。

// <0357> 俺が最初にひとりで修理できたのは掃除機だった。
<0357> 俺が最初にひとりで修理できたのは掃除機だった。

// <0358> 動くがまったく吸わないもので、親方が、これならできるだろ、と俺に命じたものだ。
<0358> 動くがまったく吸わないもので、親方が、これならできるだろ、と俺に命じたものだ。

// <0359> 慎重に分解し、目詰まりしていたフィルターや埃にまみれていたモーターを掃除する。
<0359> 慎重に分解し、目詰まりしていたフィルターや埃にまみれていたモーターを掃除する。

// <0360> 全ての部品を組み合わせ、スイッチを入れるとまるで新品のように動き出した。
<0360> 全ての部品を組み合わせ、スイッチを入れるとまるで新品のように動き出した。

// <0361> そんなに古くもなく程度の良いものだったが、親方はそれを売らなかった。
<0361> そんなに古くもなく程度の良いものだったが、親方はそれを売らなかった。

// <0362> 俺に、記念だ、持って帰れ、と言った。
<0362> 俺に、記念だ、持って帰れ、と言った。

// <0363> 今は自室の押入れに仕舞っている。
<0363> 今は自室の押入れに仕舞っている。

// <0364> 時々、智代が掃除するのに使っていた。
<0364> 時々、智代が掃除するのに使っていた。

// <0365> 俺が一人暮らしをしているこの部屋で。
<0365> 俺が一人暮らしをしているこの部屋で。

// <0366> 一人暮らしは就職と同時だった。
<0366> 一人暮らしは就職と同時だった。

// <0367> 最初は何もかもが大変だった。
<0367> 最初は何もかもが大変だった。

// <0368> 仕事で疲れ果てて帰ってくる俺は、食べるものもロクに用意できなかった。
<0368> 仕事で疲れ果てて帰ってくる俺は、食べるものもロクに用意できなかった。

// <0369> 智代が毎日のように駆けつけて助けてくれた。
<0369> 智代が毎日のように駆けつけて助けてくれた。

// <0370> 仕事にも慣れてきた頃、自炊も教わって、ひとりでご飯の支度もできるようになった。
<0370> 仕事にも慣れてきた頃、自炊も教わって、ひとりでご飯の支度もできるようになった。

// <0371> そうして仕事も、一人暮らしも、いつしかすべてが順調に進みはじめた。
<0371> そうして仕事も、一人暮らしも、いつしかすべてが順調に進みはじめた。

// <0372> 智代のおかげだ。
<0372> 智代のおかげだ。

// <0373> 智代がいなければ、すべて投げ出していた。
<0373> 智代がいなければ、すべて投げ出していた。

// <0374> 感謝した。
<0374> 感謝した。

// <0375> もしいるなら、彼女を俺のために残しておいてくれた神様にも。
<0375> もしいるなら、彼女を俺のために残しておいてくれた神様にも。